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日本中医学院ブログ


気血津液と臓腑の話(44)

こんにちは、今回は肝の生理機能を紹介致します。

1.肝は疏泄を主る
 疏は疎通、泄は暢達の意味です。疏泄とは肝が疎通、暢達、流通、宣散の総合生理機能を持っていることです。元の朱丹渓は初めてはっきりと「疏泄を主るものは、肝である」(『格致余論』)と主張した。

肝の疏泄を主る機能は人体全身の「気機」の暢達に関係しています。「気機」とは気の昇降出入運動であり、気化運動の基本形式です。この昇降出入の運動は臓腑の機能活動によって実現されるわけです。「気機」はまた人体臓腑機能活動の基本形式の概括でもあります。人体の臓腑経絡・気血津液・営衛陰陽は皆「気機」がスムーズに昇降出入によって正常に維持されています。肝の疏泄を主る機能は各臓器の「気機」の昇降出入の間のバランスに調節作用を持っているので、とてもたいした機能ですね。

肝の疏泄を主る(調暢気機)機能は以下の五つの方面から反映されます:

(1)精神情志を調節する:人間の精神情志活動は心に主宰されるほかに肝の疏泄機能とも密接に関係しています。古くから「肝は思慮を主る」(『素問・霊蘭秘典論』)いわれています。肝の疏泄機能が正常だと、肝気上昇し、亢進もしなければ抑えられることもなく、人体は自己調節ができ、精神が愉快で、気持ち良く、頭もすっきりし、血圧も安定します。

(2)消化を促進する:脾・胃は人体の主な消化器官です。胃は食べ物を受け、脾は運化する働きがあります。肝の疏泄機能は脾・胃の消化機能を正常に保ちます。肝の疏泄機能は脾の運化を助け、清い陽気を発散させ、水穀精微を肺に送ります。そして胃の消化にも助け、栄養物質を小腸に送り出します。

(3)胆汁を分泌、排泄する:胆は肝に付属し、内に胆汁があります。胆汁は消化を促進し、「肝気の余り」とも言われます。肝の疏泄機能が正常であれば、胆汁も正常に分泌・排泄され、脾・胃の消化を助けることができます。

(4)気血運行の維持:肝の疏泄機能は直接他の臓腑の気機に影響を与えています。気機が暢達する限り、心の血脉を主る機能、肺の心を助け血行を良くする機能、脾の血液を統括する機能が充分に発揮でき、よって気血の正常な運行が保証されます。これによって、気血津液と臓腑が切り離せないということを一層理解できましたでしょうか。

(5)衝脉・任脉を調整する:女子の月経・妊娠・お産や、男子の排精などの特殊な生理活動は多くの臓腑に関係しますが、特に肝の作用が一番重要だと言われます。女子の一生に血がとても重要で、月経・妊娠・お産など皆血を消耗します。多くの女性は「気が余るが、血が不足している」と言われます。衝・任の二脉は女性の生理機能と密接に関係します。肝も血海であり、衝・任二脉は足厥陰肝経に通じ、肝に属されるので、肝の疏泄機能によって衝・任の生理活動が調整されるわけです。肝の疏泄機能が正常であれば、足厥陰経の気が暢達し、衝・任の脉はその助けを得、活発になり、月経も時間通りにやって来て、妊娠もしやすく、お産も順調になります。

2.肝は血を貯蔵する:
肝は血液を貯蔵する機能と量を調節する機能を持っています。

(1)血液を貯蔵:血液は水穀精微から生まれ、脾によって生化(せいか)し、肝に貯蔵されます。肝内一定量の血液を貯蔵することによって、自身を潤い、肝の陽気を亢進させずに、疏泄機能を保ち、また出血も防げます。

(2)血液の量を調節:正常な場合、人体各部分の血液の量は一定でありますが、その量は状况によって変わります。「血は人が動くと諸経に、静止すると肝に帰る」という言い方もあります。

 次回は、肝の生理特徴及び肝と五志・五液・肢体・五官などの関係を紹介致します。


(李)
by jbucm | 2009-01-15 10:30 | 中医学

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