気血津液と臓腑の話(48)


肝火上炎証:肝火が熾盛(しせい)して上炎する実熱の証候です。胆火も熾盛する場合は肝胆火盛証と言います。情志不遂、肝鬱化火、外感火熱の邪、酒毒鬱熱などにより、肝胆の火が上逆を招きます。

【臨床表現】:頭暈脹痛、面紅目赤、口苦、口が渇く、いらいらして怒りやすい、不眠か夢にうなされる、脇肋灼痛、耳鳴が潮の如し、耳聾、或は吐血衄血(じっけつ、出血のこと)、便秘尿赤、舌紅苔黄、脈弦数。

【証因分析】:火熱の邪が内擾肝胆するので、脇肋灼痛となり、火の性質が上炎し、火熱が肝胆経脈に沿って頭目を上擾するので、頭痛、めまい、面紅目赤、耳襲耳鳴、口苦などが見られ、いらいら怒りやすく、夢にうなされたり不眠とも見られます。火傷血絡、迫血妄行なので、吐血、出血を見ます。火灼津傷なので口が渇く、便秘、尿赤を見ます。舌紅苔黄、脈弦数は肝経実火熾盛の徴候です。

肝血虚証:肝血虧虚により濡養を失った虚弱証候です。多くは生血不足或いは長期の病気で肝血の消耗し尽くしによって起こります。

【臨床表現】:めまい耳鳴り、顔や爪につやがない、多夢、視界がぼんやりか夜盲、肢体麻痺、関節拘急(こうきゅう、自由に屈伸できないこと)、手足の振顫、筋肉の自発的跳躍する。女性は月経量が少なく色が薄いか無月経、舌質淡で、脈弦細。

【証因分析】: 肝血不足で、頭面に上栄できないため、顔につやがなく、めまい、舌淡などが見る。肝血不足で、血が目を濡らさないので、眼花、視物模糊、夜盲となります。肝主筋で、その華は爪にあり、肝血虧虚、筋経が営血の濡養を失うので、爪甲が栄えず、虚風内動して肢体の麻痺、振顫、ひきつけを見る。肝は女子の先天であり、女子は血を以て本となし、肝血不足、血海空虚だと、月経量が少ないか無月経となります。血虚不足で安魂定志(落ち着く)できないので、多夢となります。血少なければ脈は充満を失うので、脈は細。

肝陰虚証:肝陰不足、虚熱内擾の証候です。多くは情志不遂、肝鬱化火、或は肝病で陽亢日久か温熱病後により、陰液が損傷されるか腎陰虧虚、水不涵木により、肝陰不足を招きます。

【臨床表現】:めまい、耳鳴、両目乾渋、視物模糊、脇肋灼痛、五心煩熱、潮熱盗汗、咽乾口燥或いは手足の蠕動、舌紅少津、脈弦細数。

【証因分析】:本証の弁証要点は、肝病の症状と陰虚証の症状がともに見えることです。目は肝の竅であり、肝陰虧少すると目に上濡できないので、両目乾渋、眼花、視物模糊となります。陰虧液少、筋脈を養わないので手足の蠕動等の症状を見る。陰虚で内熱を生み、虚熱内擾なので脇肋灼痛があり、五心煩熱、潮熱盗汗、咽乾、舌紅少津、脈細にして数一連の陰虚内熱症が現れます。

肝陰虚証と肝火上炎証は皆熱の症状がありますが、肝陰虚証の熱は虚熱に属し、肝火上炎証の熱は実熱に属しますので、区別しなければなりません。

(李)
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by jbucm | 2009-02-12 15:20 | 中医学 | Comments(0)

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