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中医薬における新型インフルエンザの弁証論治


  中国の衛生部(厚生労働省)では、今回の新型インフルエンザの治療について、中医治療を早期導入されました。

  新型インフルエンザに対して有効的な予防対策やワクチンなどがない現在、発病者が現れたら、いかに発病を広げないようにする事とともに、いかに治癒率を高め、死亡率を控える事は当面の急務です。

  中国の衛生部と国家中医薬管理局が緊急措置として発表された「A型H1N1インフルエンザの診療方案」に、早期に中医の弁証論治を入れられました。そして、中国の第一症例である四川省の包さんへの治療の為、専門家チームに中医の専門家が1人入っていました。包さんは、5月17日に完治され、無事に退院されました。

  ここで、話したいのは、上記の1人の中医専門家は、当校の本校である北京中医薬大学の附属東直門病院(日本校の皆さんが毎年、北京研修に行かれている病院です)緊急外来部の主任医師劉清泉先生です。
劉先生は、すでにSARS、手足口病など重大な伝染病の治療経験を持つ先生です。劉先生がネットに通じて、この症例の治療経過やA型H1N1インフルエンザの診断と治療について紹介してくれました。私は、この素晴らしいはなしを訳してみました。

  この症例は5月11日から治療をし始めました。最初は、一種類の西洋薬と、中成薬の「銀黄顆粒」を服用、「痰清熱」を点滴しました。1.5日で熱が治まって、体温が正常に戻りました。その時は咳が酷くて、痰があるため、「麻杏甘石湯」を5日間飲ませ、症状が治まりました。なお、山東省にあるもう1例の患者も中医の治療を受けられました。

  中国の衛生部では、中医薬が疾病の予防と治療における作用を重要視と発揮させるべきであると強調されました。今まで、SARS、鳥インフルエンザ、手足口病などの治療にも大きな成果をあげ、多くの人々に認められて来ています。軽度な新型インフルエンザ患者には、中医での治療は可能です。

  A型H1N1インフルエンザの特徴は、伝染性が強い新型のウイルスの一種であり、まだ有効なワクチンもないし、特効な薬もないです。このため、早期から中医の治療を受けるのがお勧めです。中医学から見ると、温病の範囲に属す病気です。張仲景氏の「傷寒雑病論」から、李東垣氏の「内外傷弁惑論」まで、呉又可氏の「温疫論」から、葉天士氏の「温熱論」、呉鞠通氏の「温病条弁」まで、色んな伝染病について、完備している理論体系と独特な弁証論治方法があると分るはずです。

  中医学の角度から見れば、今回のA型H1N1インフルエンザの属性は、地球の南半球から北半球への伝変する際、変化したと言えます。それは、気候特徴の違いからです。最近、中国で出た症例の属性は主に温性であるが、南米で発病した症例は温と寒が混じっていると考えられます。中医の治療は因人・因地・因時制宜なので、西洋医の病原体を直接対抗すると違い、弁証論治をしなければなりません。この面から見れば、病原体が未知の伝染病の治療には、中医学は大きな融通性と生命力を持っていると違いないです。

附:A型H1N1インフルエンザの中医弁証治療方法

1、毒襲肺衛
症状:発熱、惡寒、咽痛、頭痛、筋肉を酸痛、咳嗽。
治療:清熱解毒、宣肺透邪。
参考方薬:炙麻黄、杏仁、生石膏、柴胡、黄芩、牛蒡子、羌活、生甘草。
常用する中成薬:蓮花清瘟カプセル、銀黄類製剤、双黄連内服製剤。

2、毒犯肺胃
症状:発熱、或は惡寒を伴う、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛、筋肉を酸痛。
治療:清熱解毒、化湿和中。
参考方薬:葛根、黄芩、黄連、蒼朮、藿香、姜半夏、蘇葉、厚朴。
常用する中成薬:葛根芩連微丸、藿香正気製剤など。

3、毒壅気営
症状:高熱、咳嗽、胸悶、息苦しい、呼吸が短促、煩躁不安、甚だしい場合は神昏譫語。
治療:清気涼営。
参考方薬:炙麻黄、杏仁、栝楼、生大黄、生石膏、赤芍、水牛角。
場合によって、安宮牛黄丸、痰熱清、血必浄、清開霊、醒脳静注射液などを選用する。

(李)
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by jbucm | 2009-05-21 09:45 | 中医学 | Comments(0)