こんにちは、周です。今回は「三伏貼」の話です。
「三伏貼」療法は中医学の「冬病夏治、夏病冬治」理論、経絡学・腧穴学、時間治療学から生まれた「天灸」療法の一つです。中国の華南や華東地方の病院では、三伏天(7月中旬~8月下旬)に穴位に「膏貼」或は「灸」を行い、疾病を治療します。この三伏天に鍼灸科にいく習慣は、広州だけでなく、夏季特に暑いこれらの地方に多い習慣で、鍼灸科は大忙しとなります。
三伏といえば、暦の上では夏の最も暑い時期を指します。中国の中医学では夏至後にやってくる3度目・4度目の庚(かのえ)の日と立秋以後の最初にやってくる庚の日を順に初伏・中 伏・末伏とすることが多いです。三伏天の日数は30日間、若しくは40日間です(一般的としては10日間一伏ですが、中伏は20日間の場合もあります)。今年の場合は7月14日、7月24日(20日間)、8月13日順に初伏・中 伏・末伏に相当します(旧年の場合は、7月19日、7月29日、8月8日)。
三伏天にあたる庚の日は、十干(中国語では天干という、甲乙丙丁戊己庚辛壬癸 )では7番目に属し、庚に属する臓腑は大腸になります。一方で、三伏天の翌日となる7月15日、7月25日、8月14日は十干では8番目の辛の日となり、こちらは肺に属します。よって、肺と大腸が表裏の関係となる為、この時期は消化器系統や呼吸器系統の治療を行うと良いとされています。冬季に喘息の症状がひどい患者、慢性の下痢の患者がこの時期に中医鍼灸科を訪れるのはその為です。
さらに、中医学的に、この三伏天は気温上昇、人体の陽気も上昇し、陰気が陽気に制約されて地下に伏してしまいます。アレルギー性鼻炎や喘息、気管支炎などの症状に対しては、気や血が体表に向かって浮いてくる為、治療に最もふさわしい時期とも言われています。
暦と中医学の鍼灸治療の関係について、広州中医薬大学第一付属医院の鍼灸科では、2004年より広東省の研究プロジェクトとして三伏天に行うお灸―「天灸」の研究を行っています。この病院では、1982年より夏の「天灸」の治療を行っていて、最近では華南エリアでも徐々に普及しつつあります。
広州中医薬大学第一付属医院のHPです。
http://www.gztcm.com.cn/index.asp