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気血津液と臓腑の話(65)


⑨肝脾不調証:肝失疏泄、脾失健運により脇痛、腹脹、腹泄等を表す証候です。肝鬱脾虚、肝気犯脾(肝木乗土)とも言います。多くは情志不遂、鬱怒傷肝により、肝失条達して脾土に乗する、或は飲食労倦等により、脾気を損傷し、脾不健運となって肝の疏泄に影響し、脾虚肝鬱、肝脾失調を招きます。

【臨床表現】:脇肋と腹部に脹悶、お腹のあちこちに走り回る痛み、ため息、情志抑鬱、不快かいらいら、食欲がない、腸鳴矢気(ガスが出ること)、大便溏ですっきり出ない、或は腹痛欲泄、泄後痛減、舌苔白、脈が弦です。

【証因分析】:本証の弁証要点は、脇と腹部の脹悶、走り回る腹痛、ため息、情志抑鬱、食欲がない、大便溏などが主症状です。生理上、肝と脾は密接な関係を持ち、肝主疏泄で、胆汁を分泌して消化を助け、また、脾の精微を昇散することを助けます。脾主運化、血を化して肝を養います。肝気滞だと脾の運化に影響するが、これは「木不疏土」と言います。脾失健運か脾虚湿蘊、肝気が阻まれて疏泄を失うのは「土反侮木」と言い、そこから肝脾同病が形成されます。

 肝失疏泄、経気阻滞の故に、脇肋脹悶痛となります。肝は条達を喜び、抑鬱を悪み、肝鬱気滞だと、情志が抑鬱され横逆し、肝失柔和の故に、いらいらとなる。脾失健運の故に食少、腹脹、便溏を見ます。肝鬱気滞、脾気不和の故に腸鳴矢気或いは大便溏結不調、腹痛欲泄などを見ます。肝病が先にあり、病情が情緒を密接に関係しているものの多くは肝気犯脾に属し、脾病が先にあり、食少、便溏を主とするものの多くは肝鬱脾虚に属します。

⑩肝胃不和証:肝気鬱滞、横逆犯胃、胃失和降によって脘脇脹痛を見る証候です。肝気犯胃とも称されます。多くは情志の不快、肝気を鬱滞させ、横逆犯胃して生じます。また、飲食等による傷胃により、胃失和降させ、肝の疏泄に影響して招くこともあります。 
 
【臨床表現】:脇肋、胃脘脹満痛、走り回る腹痛、曖気(げっぷ)、呑酸(酸っぱい水を吐く)、呃逆(しゃっくり)、情緒抑鬱か煩燥怒りっぽい、ため息、納少、舌苔薄黄、脈弦でやや数です。

【証因分析】:本証の弁証要点は、脇と腹部の脹悶、走り回る腹痛、ため息、情志抑鬱に、曖気、呑酸、呃逆などが伴うことです。

 肝鬱気滞、経気不利の故に脇肋脹痛となります。肝気横逆、気が胃脘に滞るので、胃脘脹痛痞悶を見ます。胃失和降なので呃逆、曖気、曖気を見ます。気が胃脘に鬱して熱を生じるので、呑酸、舌苔は薄黄になります。胃気不健なので納少する。情志抑鬱、ため息、いらいらして怒りやすい、いずれも気鬱不快、肝失条達が原因です。

 今回の両証とも肝と脾胃の証で、同じ症状が多く見られますが、⑨の肝脾不調証は下痢などの腸の症状があって、⑩の肝胃不和証は胃気上逆の症状があります。

(李)
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by jbucm | 2009-06-25 13:30 | 中医学 | Comments(0)