肝陽(かんよう):主に肝のある機能活動の変化状況を指します。正常の場合は、肝陽と肝陰は相対的な平衡を保っていますが、もし肝陰虚になれば、陽を制約できず、「肝陽上亢」になり、頭痛・眩暈・易怒・耳鳴り・不眠などの症状が現れます。
肝陰(かんいん):主に肝の本臓にある陰液と肝に蔵される陰血のことを指します。正常の場合は、肝陽と肝陰は相対的な平衡を保っていますが、もし肝気が強すぎると、肝陽が亢盛になり、肝陰を消耗し、「肝陰不足」になり、最終的に「肝陽上亢」の症状が現れます。
肝血(かんけつ):肝に蔵される陰血のことを指します。通常では、肝陰とはっきりと分けられないが、臨床の角度から見れば、肝血に関連する病証は、失血に関係するので、必ずしも陰虚陽亢の症状があるではありません。
肝、体陰用陽(かん、たいいんようよう): 「体」とは、実体の意味で、「用」とは作用、機能を指します。肝は臓であり、腑に対して「陰」である;また、肝は蔵血の臓で、血が陰であるので、故に肝の実体は陰に属します。しかし、肝の生理機能は疎泄を主り、中に相火を寄せられ、「風木の臓」と称され、動風化火し易い;なお、肝は筋(すじ)の活動を統轄している。これらの機能、作用及び病理状況から見ると「動・熱」のほうに偏り、陽に属されます。故に、「肝、体は陰だが、用は陽」という説がありました。
肝腎同源(かんじんどうげん):肝と腎は相互滋養(所謂「肝腎相生」)である。肝の疎泄条達と血量を調節する機能は、腎陰の滋養に依頼します。腎陰の補充には、肝の疎泄に通じて腎に貯えます。なお、肝と腎は両方とも命門から出た相火を持っているので、肝腎同源という言い方がありました。
なお、「肝腎同源」の他に「精血同源」や「乙癸同源」という言い方もあります。由来については、前者が肝蔵血、腎蔵精からで、後者が乙は木(肝)に属し、癸は水(腎)に属すからです。
(李)