命門(めいもん): 「生命の門」という意味が含まれます。命門に対する認識は幾つの説があります。『難経・三十六難』では、腎臓は左右各一つあり、左側は腎で、陰と水に属し;右側は命門で、陽と火に属すという認識をしています。その為、腎は「水火の臓」とも称されます。通常の「真陰」は腎水を指し、「真陽」は腎陽、又は「命門の火」を指します(現代医学では、左右両腎の組織構成も機能も区別がないと判明しています)。
命門の作用を概括にすると、①元気の根本で、体のエネルギーを発生する発祥地で、三焦の気化機能を助ける働きがあります;②命門の火は脾胃を温め、飲食物を消化する機能を助けます;③人体の性機能に密接な関係を持ち、命門の火(相火に属す)が不足或いは偏亢の場合、どちらでも病態にあります;④納気作用があり、呼吸系の機能に密接な関係があります。
水火相済(すいかそうさい):心と腎の生理関係の現しです。心は火に属し、腎は水に属します。火と水は相互制約し、動態的なバランスを維持しています。このバランスは「水火相済」と称します。「相済」とは、相互補給の意味です。
「胃者,腎之関也(いはじんのせきである)」: 『素問・水熱穴論』にあった言葉です。「関」とは、水液が必ず通過する出入り口(関所)だと理解すれば良いです。胃の調子が悪くなる(胃気虚弱など)と、胃に入った水液がうまく腎にたどり着かず、二便の失調になり、水液代謝障害を起こします。
州都の官(しゅうとのかん):膀胱のことです。六腑の一つである。州都とは、洲渚ともいい、水の中にあるが、居住できるところです。ここでは、膀胱は水液の集まるところであるの譬えです。膀胱は腎と表裏関係を持ち、その中にある尿液は気化過程の産物で、汗と同様で津液から化生されます。「気化」とは、化気行水の意味です。膀胱に病気があれば、尿の異常或いは排尿困難などの症状が現れます。
(李)