こんにちは、周です。今回は「黄梁美夢・黄梁夢」(黄梁の夢・黄梁一炊の夢とも言う)を紹介します。
この故事は唐代に書かれた伝奇小説≪枕中記≫に出てくる話です。
唐の時代、科挙試験で上京し、何回目かの落第を経験した盧という青年は、落ち込んでの帰り道、日が暮れたので河北省邯鄲にある旅館に泊ります。旅館では黄梁ご飯を炊いていて、傍らに仙人の呂洞賓がいました。盧青年は懐才不遇(出世できない悩み)を訴えます。呂洞賓は磁器の枕を渡し昼寝をさせます。盧生は夢の中でまず科挙試験に合格し、のち、金持ちの綺麗なお嫁さんをもらいます。また、皇帝のお目がねに叶い、官位も歩歩高昇(一歩一歩上に昇っていく)、進士→節度使→御史丈夫→宰相→燕国公まで封じされました。子孫四世代と共に、人間の栄華福貴を五十年間極め、90歳位まで寿終正寝(天寿を全うする、喩:お陀仏に成る)。この時、馬屋で驢馬が吼えるので、びっくりして夢から醒めると、これは一切がただ夢で、自分はやはり貧しい書生で、さきほど炊いていた黄梁のご飯はまだ煮えきっていません。
呂洞賓仙人はこう言いました「人生はそんなもんですよ、本当の栄華福貴を味わい楽しみたければ、自分が努力しなければなりません」。
中国では、「勝手に描かれた願望が崩れさること」の比喩に用いることが多いです。
舞台となった河北省邯鄲市(三千年の悠久たる歴史と燦爛を誇る古都です)の北にあり、「黄梁夢呂仙寺」というは建築群があります。機会がありましたら、是非一度邯鄲市へ行ってみてください。
ところで、この故事に出てくる「黄梁」とは、何というものでしょうか?
黄梁とは、黍(黄米)のことです。中国北方で生産される食糧の一種で、黄帝時代(古く)から使われたから、「黄米」と呼ばれるそうです。小米(粟)に似て、小米より粒がやや大きい、色は淡黄、煮えた後は粘性が強いですから、黄糕(もち)という食品を作ります、勿論ご飯、お粥、釀酒にもできます。ご飯を炊くのは約20分間が掛かります。
性味は甘、微寒で、益陰・利肺・利大腸の効能があり、陰虚・不眠・久瀉・胃腸弱の者に適応です。