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『黄帝内経』筆記 陰陽五行(五)

素問・陰陽応象大論篇 第五⑤

【原文】水為陰、火為陽①。陽為気、陰為味②。味帰形、形帰気③。気帰精、精帰化④。精食気、形食味、化生精、気生形⑤。味傷形、気傷精⑥、精化為気、気傷於味⑦。

【注釈】①水為陰、火為陽:水は潤下で寒性である、故に陰である。火は炎上で熱性である、故に陽である。張介賓はこう注釈した、「水火は、陰陽の徴候であり、陰陽は水火の性情である。」

②陽為気、陰為味:張介賓の注釈では、「気は無形で上昇する、故に陽である。味は有質で下降する、故に陰である。ここは、薬(物)と食(物)の気味のことを指す。」となっている。

③味帰形、形帰気:「帰」とは帰す、又は滋養と生成の意味である。ここの「味」は一切の薬食物を指し、「形」は蔵府・精血など有形の物(形体)を指し、「気」は人体の真気(元気)を指す。「味帰形」は、薬食物の味は人の形体を滋養する。「形帰気」は、形体は真元の気に充養されるという意味である。

④気帰精、精帰化:ここの「気」は薬食物の気(四気、四性)を指し、「精」は精微、陰精を指し、「化」は気化の意味である。「気帰精」は、薬食の気は精微に化し、人体の陰精を成生する。「精帰化」は、人体の陰精は気化作用に依頼するという意味である。

⑤精食気、形食味、化生精、気生形:「精食気、形食味」は上文の「気帰精」と「味帰形」の補充説明で、同じ意味である。「化生精、気生形」は上文の「精帰化」と「形帰気」の補充説明で、同じ意味である。

⑥味傷形、気傷精:「味帰形、形食味と気帰精、精食気」の太過で自傷の説明である。薬食物の味は人の形体を滋養するが、取り過ぎの場合は、形体を損傷する。同じく、薬食の気は精微に化し人体の陰精を成生するが、取り過ぎの場合は、人体の陰精を損傷する。

例えば、『素問・生気通天論』には、「陰は、もとは五味から所生であるが、陰の五宮は五味に所傷である。」と「肝経の在味は酸だが、酸は傷筋する。」故に、味傷形と言う。なお、気帰精と精食気とは、ものの気性(温熱寒涼)が精を養うという意味である。しかし、この気性を取り過ぎの場合は、この精を損傷する。

⑦精化為気、気傷於味:ここの「気」は人体の真気(元気)を指す。張介賓は次のよう注釈した:「精化為気とは、元気は精から生まれるということである。しかし、上文では、気帰精と言った、それは気が精を生ずるという意味なのである。二者が相反しているように見えるが、上文の「気」とは、薬食の気性のことである。これは、精気互根のことを述べたのであり、最初にあった、天地雨雲の話と同じ意味である……気傷於味とは、上文では、味帰形(又は、味傷形)と言った、この意味は、形が損傷なら元気も損傷される。例えば、酸味が取り過ぎると、肝気がつきないが、脾気が絶つ(肝気乗脾)。これは、味傷気の一例である。

【説明】『素問・陰陽応象大論』は、陰陽の互根、転化運動の説で、薬食の気味が人体への作用のメカニズムを論述した。先ず、気と味を陰陽の属性を分けた(気は陽で、味は陰である)。陽性の作用方向は上と外へ、陰性の作用方向は下と内へ動く。さらに、気味の厚薄で陰陽を分けると、また陽中の陽、陽中の陰、陰中の陽、陰中の陽などがある(次回の原分を参照)。なお、その向上向外の作用の中に、発熱や発散の違いがあり、向下向内の作用の中に泄と通の違いなどがある。

また、味で陰陽を分ける場合は、辛甘発散の者は陽で、酸苦通泄の者は陰であると述べた。

薬食作用は人体に利もあれば、害もある。例えば、薬性温和の物は補益精気・協調陰陽ができるが、竣烈の物はまた人体の精気を損傷する。適宜に薬を使うと、身体へ増益と陰陽の協調ができるが、気味の使い過ぎでは、反って陰陽を損傷し、新たな陰陽失調になる。だから、薬物の気味論は中薬学の理論基礎の一つである。

この節で、薬食の性(気)味と人体五臓の陰陽との損益関係を理解されていれば、嬉しいです。


(李)
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by jbucm | 2012-04-12 10:00 | 中医学 | Comments(0)