素問・陰陽応象大論篇 第五⑭
【原文】天気通於肺,地気通於嗌,風気通於肝,雷気通於心,谷気通於脾,雨気通於腎⑤。
六經為川,腸胃為海⑥,九竅為水注之気⑦。以天地為之陰陽,陽之汗,以天地之雨名之;陽之気,以天地之疾風名之⑧。暴気象雷,逆気象陽⑨。
故治不法天之紀,不用地之理,則災害至矣⑩。
【注釈】⑤天気通於肺,地気通於嗌,風気通於肝,雷気通於心,谷気通於脾,雨気通於腎:天気は清気で、呼吸の気であり、五臓に入るが、先に喉に経由し肺に入る。地気は濁気で、飲食の気であり、六腑に入るが、先に咽に経由し胃に入る。風は木の気であり、肝は木に属すから、故に風気は肝に入る。雷は火の声であり、心は火の臓なので、故に雷気は心に入る。谷気は土気であり、脾は土に属すから、故に谷気は脾に入る。雨気とは、寒水の気であり、腎は水臓なので、故に雨気は腎に入る。
⑥六經為川,腸胃為海:六經とは、三陰経脈と三陽経脈のことで、川のように、気血を周身に流される。腸胃は水穀を納める。故に、「六經は川,腸胃は(水穀の)海」と言う。
⑦九竅為水注之気:張介賓の注釈はこう言った、「水注之気は水気之注と言う。例えば、目の涙、鼻の涕、口の津、二陰の尿穢など。耳に水がないようだが、耳中の耳垢は津気湿によるもので、即ち水気のことである。気があれば、必ず水もあるから、故に水注之気と言う。」
⑧陽之汗,以天地之雨名之;陽之気,以天地之疾風名之:張介賓の注釈はこう言った、「雨は即ち人の汗、汗は即ち天の雨。皆陰精から化したもので、雨が汗の譬えになる;気は元々陽に属す、陽が勝てば、気が速まる。故に陽気を天地の疾風に譬える。」
⑨暴気象雷,逆気象陽:暴気とは、怒気であり、雷の如く、突如に起きる。逆気とは、身体の上逆の気であり、陽(火)のように昇藤する。
⑩故治不法天之紀,不用地之理,則災害至矣:治とは、身体を調養することである。身体の陰陽は、天地の陰陽と同じだから、身体を調養するには、天の八紀や地の五里に従わないと、災害が来るのは間違いない。
【説明】
本節(前回と今回の分)は、人と自然との統一的な学術観点を述べた。この理論は我々に、人体生命活動の規律を探索の際、自然の規律に合わせるだけではなく、臨床の弁証論治の際にも天地陰陽四時に合わせて分析しなければならないと指示した。
(李)