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『黄帝内経』筆記 陰陽五行(十九)

素問・陰陽応象大論篇 第五⑱

【原文】善診者、察色按脉、先別陰陽⑥;審清濁而知部分⑦;視喘息、聽音聲而知所苦⑧;觀權衡規矩而知病所主⑨;按尺寸、觀浮沈滑濇而知病所生⑩。以治無過、以診則不失⑪矣。

【注釈】⑥察色按脉、先別陰陽:色と脈は皆、陰と陽がある。色の陰陽について、鮮明な色が陽で、暗淡な色が陰です。脈の陰陽について、強いほうが陽で、弱いほうは陰です。これで、先ず陰陽を弁別する。

⑦審清濁而知部分:「而」は「また」の意味です。顔の色の清濁(明るさ)また部位(五色の分布)を審査する必要がある。清濁の審査について、『素問呉注・巻二』にこう記載している:「色がはっきりして明るいのは、病が陽分にある;色が濁って暗いのは、病が陰分にある」。

⑧視喘息、聽音聲而知所苦:喘息のようすを視る、(喘息や咳など)呼吸の声を聴くことで病人の苦痛している(弱い)部位(五臓)を知る。

『素問経注節解・巻一』にこう記載している:「喘息は必ず身体が動く、軽い者はただ呼多吸少(息を多く吐き出し、少なく吸い込む)だが、重い者は目を丸くし鼻を反り上がって、脇の肋間が凹み肩をすぼめる。故に、その呼吸の声を聴くだけではなく、呼吸の状況を視る必要がある。これは望診と聞診の道である」。

また、「聽音聲而知所苦」について、『素問呉注・巻二』の注釈は次のようです:「声が大きく緩い者は宮であり、苦病脾(脾の病である);声が軽くて強い者は商であり、苦病肺(肺の病である);声のトーンが高くまっすぐの者は角であり、苦病肝(肝の病である);声が穏やかで綺麗な者は徴であり、苦病心(心の病である);声が低くて深い者は羽であり、苦病腎(腎の病である)」。これは病理の話です。

 
⑨觀權衡規矩而知病所主:「權衡規矩」とは、重量や長さを測る器具で、ここは四時の脈象のたとえです。『脉要精微論』に「春は規に当てはまる、夏は矩に当てはまる、秋は衡に当てはまる、冬は權に当てはまる」と書かれています。『素問集注・巻二』に「四時に応じる脈象を観ることで、病を主する臓が判る」と書いてあった。なお、その意味を転じると、脈だけではなく、病人のすべての症状に対して、その輕重と方円を比較と分析しなければならない。

⑩按尺寸、觀浮沈滑濇而知病所生:『内経』の切脈は尺関寸ではなく、「尺」は、尺肤で前腕の皮膚を指し、「寸」は寸口脈を指す。皮膚と脈の切診でその浮沈滑濇を診て、病の状況を判断する。

⑪以治無過、以診則不失:このように治療すれば過失がなく、診断も見逃すことがない。

【説明】本節(前回と今回の分)は、診治の道は陰陽の法則に従うべきことの重要性を論じた。なお、針灸の治療方法について、「從陰引陽、從陽引陰」と「以右治左、以左治右」などの法則を提唱した。これらの法則はいまだに針刺治療の重要な針刺法として、実践されています。特に、「察色按脉、先別陰陽」とは、診法の綱領となっています。

今回は、『素問・陰陽応象大論篇第五』の最終回です。次回からは、『素問・金匱真言論篇第四』を勉強したいです。


(注:来週は夏休みと、再来週は出張のため、次回の更新は8月30日に予定しております。)

(李)
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by jbucm | 2012-08-09 09:44 | Comments(0)