『黄帝内経』筆記 蔵象学説(六)

素問・霊蘭秘典論篇第八①

篇名について
「霊蘭」とは、霊台蘭室の略称です。伝説によると、霊台蘭室は古代帝王の蔵書室です。室の名前を「霊蘭」にした理由について、『素問直解・巻一』にこう書かれています:「神霊が相接し、その気が蘭に如く」。「秘典」とは、秘蔵の典籍のことです。本篇の最後に「藏霊蘭之室、以伝保焉」と書いてあることは、本篇の内容は重要であることを強調しています。
これについて、『素問註証発微・巻一』にも「末に、後世へ(秘典を)伝わる爲、黄帝が吉日と時機を選び、霊蘭の室に蔵したと書いてある。故に、篇名があった。」

【原文】黄帝問曰:十二藏之相使、貴賎何如①?岐伯對曰:悉乎哉問也、請遂言之:心者、君主之官也、神明出焉②。肺者、相傅之官、治節出焉③。肝者、將軍之官、謀慮出焉④。胆者、中正之官、決断出焉⑤。膻中者、臣使之官、喜樂出焉⑥。

【注釈】①十二藏之相使、貴賎何如:「十二藏」は臓腑各六つの総称です。「相使」とは、旧時,大臣や官吏のことで、ここでは、相互使用の意味もあり、「十二藏」の生理機能の相互関係を指します。「貴賎」とは、主従と上下の関係という意味です。

②心者、君主之官也、神明出焉:「君主」とは、国の元首です。「神明」とは、精神意識や智慧を指します。心は、一身の君主であり、聡明と智慧を出すところです。十二藏府経脈の活動は、皆心に従って行います。

③肺者、相傅之官、治節出焉:「傅」は「輔」と同じ、「相傅」とは、輔佐の意味で、古代王朝の官名です。「治」は統治・管理する、「節」は調節する意味です。肺は、心の補佐であり、全身の営衛気血を統治し調節するところです。

④肝者、將軍之官、謀慮出焉:「謀慮」は謀略・考慮の意味です。肝は、将軍であり、謀略を出すところです。

⑤胆者、中正之官、決断出焉:「中正」は公正で剛直の意味です。胆は、剛直の官であり、決断を出すところです。胆は、肝に附属し、互いに表裏関係しています。肝気は強いが、胆がないと決断できない。肝胆が相済であれば、強く勇ましくなります。

⑥膻中者、臣使之官、喜樂出焉:「膻中」についての注釈は二つあり、其の一は上気海(王氷)で、その二は心包絡(『素問釈義』)です。ここは、十二官の一としますので、心包絡であるはずです。心包絡は心臓を囲み、臣使之官であり、心臓の指令を受け、心志の喜楽を伝達するところです。

(次回へ続く)


(李)
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by jbucm | 2012-11-29 11:37 | Comments(0)

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