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by jbucm

『黄帝内経』筆記 蔵象学説(二十)

霊枢・五味第五十六⑦

二.心臓の五味宜忌
一般病理:①「赤色宜苦」;「心病者、宜食麦、羊肉、杏、薤」など苦味;②「心病禁咸」(『霊枢・五味』)。心は火に属し、苦は火の味である、故に苦味は心に入り補益の作用を果せます。咸は水の味で、心火を抑制できます。心(陽)虚の場合、「咸味」を禁忌します。

特殊病理:①「心色赤、宜食酸。犬肉、麻、李、韭皆酸」(『霊枢・五味』);「心苦緩、急食酸以収之」(『素問・蔵気法時論』)。ここは、心の気陰が虚弱し心気渙散の場合を指します。酸味を食べ、心気を収斂できます。②「心欲軟、急食咸以軟之;用咸補之、甘瀉之」(『素問・蔵気法時論』)。ここは心火偏亢の場合の話です。心火旺盛なら、早めに咸味を使い、心火を抑えるべきです。正常状態に回復させるので、故に「補」と謂う;なお、甘は土の味であり、咸味を尅すので、故に「瀉」というのです。

禁多食苦味:①「苦走骨、骨病無多食苦」(『素問・宣明五気篇』)。元々苦は心に入るが、ここは「苦走骨」という。これは、心腎水火相済、多食苦味なら、助心傷腎になります。腎主骨なので、故に骨の病症は苦味を控えるべきです。「病在血、無食苦」(『霊枢・九鍼論』)。同じ道理で、苦味が心血に入り、苦味を取り過ぎると血行失調になるので、故に血病に苦味を禁忌すべきです。②「苦走骨、多食之令人嘔」(『霊枢・五味論』)。古文の「嘔」は「嫗」に通じ、老婦人の意味です。苦味を取り過ぎると、骨髄を損傷し、早く歳を取ります。③「多食苦、則皮槁而毛抜」(『素問・五蔵生成篇』)。「皮槁」は皮膚が涸れること、「毛抜」は毛が抜けることです。苦は火味で、肺は皮毛を主る。心火は肺金を尅すので、故に苦味を取り過ぎると皮膚の涸れや体毛が脱落などの症状を招きます。

三.脾臓の五味宜忌
一般病理:①「脾欲甘」(『素問・五蔵生成篇』);「黄色宜甘」;「脾病者、宜食秔米飯、牛肉、棗、葵」など甘味(『霊枢・五味』)。甘味は脾に入り脾気の補益作用があります。②「脾病禁酸」(『霊枢・五味』)。脾は土に属し、酸は木の味で脾土を尅すので、脾(陽気)虚の場合、「酸味」を禁忌します。

特殊病理:①「脾色黄、宜食咸。大豆、豕肉、栗、藿皆咸」(『霊枢・五味』);脾陰虚の場合、腎関不利なので、咸味で滋養します。②「脾苦湿、急食苦以燥之」(『素問・蔵気法時論』)。ここは、脾気虚で運化できず、水湿が停滞した場合を指します。(温性の)苦味を食べ、健脾祛湿します。③「脾欲緩、急食甘以緩之;用苦瀉之、甘補之」(『素問・蔵気法時論』)。脾臓の病気は緩和する必要があり、早めに和中のできる甘味を食べ、脾病を緩和します。瀉が必要な場合は、苦味を使い、補が必要な場合は甘味を使います。

禁多食甘味:①「甘走肉、肉病無多食甘」(『素問・宣明五気篇』);「病在肉、無食甘」(『霊枢・九鍼論』)。甘味は脾に入る。ここは脾気壅滞で肌肉が怠惰(筋肉が柔らかくて、がっちりした体格でない)の場合に、甘味を控え、気機壅滞を防ぎます。②「甘走肉、多食之令人悗心」(『霊枢・五味論』)。「悗(バン)心」は煩心の意味です。甘味を取り過ぎると胃気が停滞し煩心(胸焼け)します。③「多食甘、則骨痛而髮落」(『素問・五蔵生成篇』)。甘は土味で、腎は骨を主る、其の華は髪にある。脾土は腎水を尅すので、故に甘味を取り過ぎると骨の痛みや抜け毛などの症状を招きます。

(次回へ続く)

(李)
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by jbucm | 2013-04-04 10:20 | Comments(0)