『黄帝内経』筆記 蔵象学説(四十四) 

素問・経脈別論篇第二十一③

【原文】故飮食飽甚、汗出於胃、驚而奪精、汗出於心①;持重遠行、汗出於腎②;疾走恐懼、汗出於肝③;搖體労苦、汗出於脾④;故春秋冬夏、四時陰陽、生病起於過用⑤、此爲常也⑥。

【注釈】①飮食飽甚、汗出於胃、驚而奪精、汗出於心:体内の津液が陽気の蒸発作用で体表に出て来る、それを「汗」と言う。各種の原因で臓腑の気が昇発し過ぎ、異常な汗が出る。
『素問注証発微・巻三』にこう説明しています:「飲食物を摂り過ぎると、食気が胃を蒸迫するから、故に汗が胃から出ると言う」。王氷氏が『黄帝内経素問』の注釈では「驚くと神気が浮越し心気が損傷されるから、故に汗が心から出る」と言いました。

②持重遠行、汗出於腎:「重いものを持ち、遠くまで歩くと、骨を損傷し、気を消耗する、骨は腎に属すので、この場合の汗は腎から出ると考える。

③疾走恐懼、汗出於肝:疾走したり恐懼したりすると、筋と魂を損傷するので、肝気が損傷される。この場合の汗は肝から出ると考える。

④搖體労苦、汗出於脾:「搖體労苦」とは過度な体力(筋肉を使う)労働をさします。筋肉四肢は脾に属すので、この場合は脾気の損傷で汗が脾からでると考えます。

⑤春秋冬夏、四時陰陽、生病起於過用:「過用」とは七情と体力を使用過度のことを指します。春秋冬夏の四季に陰陽の変化は一定な規律があるが、人体にこれらの変化の中で疾病が発生するのは、身体の各部位を使い過ぎがその原因です。

⑥此爲常也:これは通常の道理です。

【説明】本節は汗を例にして、異なる原因が違う臓腑の機能が変化させ、汗が出るということを説明し、臨床で「汗証」の弁証論治に理論依拠を提供しました。

なお、「生病起於過用」という観点は、養生と疾病の予防や臨床治療に重要な指導的な意義があります。七情の過激で五臓の気機失調になったり、過度な労逸、過度な飲食が病気を引き起こしたりします。なお、治療の際も、過度な治療をしないことが大切であり、治療の原則でもあります。


(李)
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by jbucm | 2013-12-12 10:12 | 中医学 | Comments(0)

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