『黄帝内経』筆記 蔵象学説(四十八)

素問・経脈別論篇第二十一⑦

【原文】帝曰:太陽藏何象?岐伯曰:象三陽而浮也①。帝曰:少陽藏何象?岐伯曰:象一陽也。一陽藏者、滑而不実也②。帝曰:陽明藏何象?岐伯曰:象大浮也③。太陰藏搏、言伏鼓也④。二陰搏至、腎沈不浮也⑤。

【注釈】①太陽藏何象?象三陽而浮也:太陽経はどんな脈象であるか?三陽の浮脈である。『類経・脈色類・十五』は次のように説明しています:「太陽の脈象を三陽というのは、太陽が体表に走行し、陽の極めであるから。故に脈が外に浮かぶ」。

②少陽藏何象?象一陽也。一陽藏者、滑而不実也:少陽経はどんな脈象であるか?一陽脈は、滑脈だが実脈にならない。『素問注証発微・巻四』の注釈は次のようです:「少陽は陽の裏、陰の表で、所謂半表半裏である。その臓は最初の陽だから、脈体は滑で不実である。一陽の初陽のようである」。

③陽明藏何象?象大浮也:陽明経はどんな脈象であるか?その脈象は大で浮脈である。『素問集注・巻四』の注釈は次のようです:「陽明は両陽の合わせ、陽気が合併するので、陽熱が盛んになる。故に大と浮の脈象になる。大浮という脈象は、二陽の気である」。

④太陰藏搏、言伏鼓也:太陰経の脈象は沈伏だが、はかる時に指が有力と感じられる。「伏鼓」とは、堅結沈伏で押す時に指を攻めるという有力な脈象を指す。

⑤二陰搏至、腎沈不浮也:少陰経の脈象は沈で浮脈にならない。『類経・脈色類・十五』と『素問注証発微・巻三』は次のように説明しています:「二陰とは少陰腎経である」、「二陰の脈搏は腎の脈だから沈脈となり、浮脈にならない。ここから観ると、厥陰の脈は二陰の脈よりさらに沈脈になる」と厥陰の脈の特徴まで(「厥陰は陰の裏」を根拠にして)推論された。

【説明】本節は三陰三陽の脈象を論述した。但し、一陰に関して論じてない。他のところにも欠けている部分があります。

なお、素問・経脈別論篇第二十一⑤⑥⑦は、六経独至の脈象と証治を論じたが、一見したら、足経しか論じてないと見える。これに対して、『素問直解・巻三』は「十二経脈は、合わせて手足の三陽三陰と成す」と解釈し、『素問集注・巻四』にも「手足の経気は貫通しているから、手経の病症も下兪穴で治療できる」という説明があった。

今回を持ちまして、『素問・経脈別論篇』を終わらせたいです。本篇の主な意義を次のように纏めましょう:

1、喘と汗を例にして、人の居住環境・動静・労逸・体質状況・情志変化などが皆臓腑経脈の気血に影響を与える。これらの変化によって生理と病理的反応がある。この論述は整体観と五臓弁証の理論基礎にもなります。

2、飲食物の消化吸収の過程に、「肺朝百脈、通調水道」の理論と実践的な意義がある。後世の「気行則水行」、「肺気を開き行水する」、「補気以行水」などの治療法則は皆本篇の理論が生理、治療への運用である。

3、三陰三陽経脈の脈象と主病は、医学理論に特殊な意義がある。


次回からは、『霊枢・大惑論第八十』を勉強したいです。

(李)
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by jbucm | 2014-01-23 10:42 | 中医学 | Comments(0)

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