『黄帝内経』筆記 蔵象学説(六十七)

霊枢・営衛生会第十八⑥

【原文】黄帝曰:願聞営衛之所行、皆何道從來①?岐伯答曰:営出于中焦、衛出于下焦②。

黄帝曰:願聞三焦之所出。岐伯答曰:上焦出于胃上口、並咽以上、貫膈而布胸中、走腋、循太陰之分而行、還至陽明、上至舌、下足陽明、常與営倶行于陽二十五度、行于陰亦二十五度、一周也③。故五十度而復大会于手太陰矣④。
黄帝曰:人有熱飮食下胃、其気未定、汗則出、或出于面、或出于背、或出于身半、其不循衛気之道而出、何也⑤?岐伯曰:此外傷于風、内開腠理、毛蒸理泄、衛気走之、固不得循其道。此気慓悍滑疾、見開而出、故不得從其道、故命曰漏泄⑥。

【注釈】①願聞営衛之所行、皆何道從來:営気と衛気の運行について聞きたいが、どの通路から来たの?

②営出于中焦、衛出于下焦:営気は水穀精微により化生されるもので、中焦の脾胃により出たものです。なお、営気は手太陰肺経から運行され、肺経は中焦からスタートしたものなので、故に「営出于中焦」という。
「衛出于下焦」について、いくつの解説があるが、『霊枢集注・巻二』に「下」は「上」の誤りであると説明しています。『決気』に「上焦開発、五穀の味を宣発して皮膚を熏蒸する、身体に充満して毛髮を潤沢する、霧に如く、気を謂う」との記載があり、『五味論』にも「……衛とは、陽明水穀の悍気であり、上焦から出て、表陽を保護する」と記載しています。

③上焦出于胃上口、並咽以上、貫膈而布胸中、走腋、循太陰之分而行、還至陽明、上至舌、下足陽明、常與営倶行于陽二十五度、行于陰亦二十五度、一周也:上焦は胃の入り口噴門(ふんもん)、食道と並行し咽喉まで上行する、隔膜を通り抜き胸中に分布する、(横に行く分が)脇の下まで走行し、手太陰経に沿って循行する、手陽明へ復帰する。上へ行く分が舌まで、下へ行く分が足陽明胃経に沿って循行する。衛気は営気と同じく、陽分に二十五回走行し、陰分にも二十五回走行する、これが昼夜の一週である。

④故五十度而復大会于手太陰矣:衛気は全身を五十回走行し、最後に営気と手太陰肺経で会合する。『類経・経絡類・二十三』に次のように述べています:「営気は、宗気に従って十四経脈中走行する。故に上焦の気は、常に営気と並行して陽分に二十五回走行、陰分にも二十五回走行する。ここの陰陽とは、昼夜を言う。一昼夜に身体を五十回回り、翌日の寅の刻(3~5時)に手太陰肺経で会合する。これが一週である。故に、営気は中焦からでるものであるが、その行動が上焦に頼る。」

⑤人有熱飮食下胃、其気未定、汗則出、或出于面、或出于背、或出于身半、其不循衛気之道而出、何也:人は熱い飲食ものを摂食、まだ精微に化されない時に、汗が顔、背中、或は半身から出る。衛気が通常運行する通路に沿わない、これはなぜでしょう?

⑥此外傷于風、内開腠理、毛蒸理泄、衛気走之、固不得循其道。此気慓悍滑疾、見開而出、故不得從其道、故命曰漏泄:これは、体表が風邪に襲われ、腠理と毛孔が開き、衛気がそこから出て、通常の運行通路で循行しなくなる。これは、衛気の性質が慓悍滑疾(すばしこくて強い、すべすべして速い)だから、開いている処を見たら、すぐにそこから出て来る。故に、脈道に循行しなくなる。このような「汗」を「漏泄」と称する。

「毛蒸理泄」とは、風熱の邪気を受けて、皮毛が蒸発し、腠理が開泄して汗がでることです。「不得循其道」について、『霊枢注証発微・巻二』に次のように述べています、「この汗は、衛気の通路に従わない、外傷風邪、熱い飲食を摂ったら、腠理が開き、毛孔も開き、汗が漏れ、衛気も分肉に沿って出る」。

【説明】本節は営衛と上焦の所出及び「漏泄」の機理を述べました。なお、「衛出于下焦」に関して、歴代に争論が多いで、問題を見る角度が違うからでしょう。

なお、上焦の気(衛気)は慓悍滑疾の性質を持ち、周身に分散し、全ての組織器官を潤沢する。もし、風邪を外受したら、腠理が開泄し、その時に熱い飲食を摂取すると「毛蒸理泄」し、衛気がそこから出て、局部に異常な汗が出る。これを「漏泄証」と言う。


(李)
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by jbucm | 2014-06-12 10:30 | 中医学 | Comments(0)

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