『黄帝内経』筆記 蔵象学説(八十九) 

霊枢・本神第八⑤

【原文】心、怵惕思慮則傷神、神傷則恐懼自失、破※(月へんに囷)脱肉、毛悴色夭、死于冬①。脾、愁憂而不解則傷意、意傷則悗乱、四肢不挙、毛悴色夭、死于春②。肝、悲哀動中則傷魂、魂傷則狂忘不精、不精則不正、當人陰縮而攣筋、兩脇骨不挙、毛悴色夭、死于秋③。肺、喜樂無極則傷魄、魄傷則狂、狂者意不存人、皮革焦、毛悴色夭、死于夏④。腎、盛怒而不止則傷志、志傷則喜忘其前言、腰脊不可以俛仰屈伸、毛悴色夭、死于季夏⑤。恐懼而不解則傷精、精傷則骨痠痿厥、精時自下⑥。是故五藏主藏精者也、不可傷、傷則失守而陰虚、陰虚則無気、無気則死矣⑦。是故用鍼者、察觀病人之態、以知精神魂魄之存亡、得失之意、五者已傷、鍼不可以治之也⑧。

【注釈】①心、怵惕思慮則傷神、神傷則恐懼自失、破※(月へんに囷)脱肉、毛悴色夭、死于冬:驚恐と思慮し過ぎると、心に蔵される神が損傷され、神傷するといつも恐れて自制できず、長く続けたら、肌肉が痩せ、皮毛が憔悴し、気色が枯れる、冬季に死亡する。*「心病死于冬」(「心」の病気はその所不勝の季節「冬」に死亡する)の意味は、心は火に属し、火の「所不勝」は水(水に尅される)、水に属す季節は冬である。以下も同じです。

②脾、愁憂而不解則傷意、意傷則悗乱、四肢不挙、毛悴色夭、死于春:憂愁が解消されないと、脾に蔵される意が損傷される。意傷すると胸膈煩悶し、手足が動きにくく、皮毛が憔悴し、気色が枯れる、春季に死亡する。

③肝、悲哀動中則傷魂、魂傷則狂忘不精、不精則不正、當人陰縮而攣筋、兩脇骨不挙、毛悴色夭、死于秋:悲哀し過ぎると、肝に蔵される魂が損傷される。魂傷すると、無知になって行動が異常になる。同時に患者の前陰が委縮し筋脈が痙攣し、両脇が開けなくなり、皮毛が憔悴し、気色が枯れる、秋季に死亡する。

④肺、喜樂無極則傷魄、魄傷則狂、狂者意不存人、皮革焦、毛悴色夭、死于夏:喜楽では肺に蔵される魄が損傷される。魄傷すると癲狂になって、話しに秩序がなくなり、皮毛が憔悴し、気色が枯れる、夏季に死亡する。

⑤腎、盛怒而不止則傷志、志傷則喜忘其前言、腰脊不可以俛仰屈伸、毛悴色夭、死于季夏:盛怒が止まらないと、腎に蔵される志が損傷される。志が損傷すると記憶力が衰え、腰脊の屈伸などができなくなり、皮毛が憔悴し、気色が枯れる、長夏の季に死亡する。

⑥恐懼而不解則傷精、精傷則骨痠痿厥、精時自下:また、恐懼が解消されないと、精気が損傷される。精傷すると、骨節がだるくて四肢が冷える。精液が時々漏れる。

⑦是故五藏主藏精者也、不可傷、傷則失守而陰虚、陰虚則無気、無気則死矣:故に、五臓は皆蔵精していて、損傷してはいけない。それぞれ蔵されている精が損傷されると陰虚になる。陰不足すると正気の化生ができなくなる。正気がなくなると死んでしまう。

⑧是故用鍼者、察觀病人之態、以知精神魂魄之存亡、得失之意、五者已傷、鍼不可以治之也:その故、針で治療をする際、まず患者の状態を観察し、その精・神・魂・魄・意・志などの存在状況を知るべきです。もし五臓の精が損傷されていれば、針での治療をしてはいけない。

【説明】本段は前段の補充説明です。五臓は蔵精していて、神気は精により化生されたものである。故に情志による疾病が五臓の精を損傷すると同時に五臓の疾病も情志へ反映される。つまり、精神情志の変化を観察することで疾病の診断や予測することができる。もし精神魂魄が消失されていれば、五臓の精気が衰え、病情が危篤であり、鍼刺の治療は適宜されなくなる。これは、本篇の最初にあった「凡刺之法、必先本于神」と相呼応している。

(李)
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by jbucm | 2015-01-15 10:30 | 中医学 | Comments(0)

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