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『黄帝内経』筆記 病因病機学説(三)

素問・生気通天論篇第三③

【原文】陽気者、若天与日、失其所、則折寿而不彰①。故天運当以日光明、是故陽因而上、衛外者也②。因於寒、欲如運枢、起居如驚、神気乃浮③。因於暑、汗、煩則喘喝、靜則多言、体若燔炭、汗出而散④。因於湿、首如裹、湿熱不攘、大筋緛短、小筋弛長、緛短爲拘、弛長爲痿⑤。因於気、爲腫⑥。四維相代、陽気乃竭⑦。

【注釈】①陽気者、若天与日、失其所、則折寿而不彰:身体の陽気は天空にあるお日様のように、大変重要である。もし陽気の運行が失常になると、その重要な作用が発揮できなくなり、人の寿命が減少か夭折する、生命の機能が弱くなる。

②故天運当以日光明、是故陽因而上、衛外者也:天体の正常運行は、太陽の光があまねく照りわたることである。故に人体の陽気も上且つ外にあり、身体を保護し、外邪の侵入を防御ものである。

③因於寒、欲如運枢、起居如驚、神気乃浮:寒邪によるものは、陽気が束縛され、扉の回転軸が固定されたようにうまく回転できなくなる。もし生活リズムが急速になり、陽気を擾動したら、神気(臓腑の陽気)が外へ浮越し易い。『新校正』にとると、「欲如運枢」は「定如連枢」の誤りである。

④因於暑、汗、煩則喘喝、靜則多言、体若燔炭、汗出而散:暑邪によるものは、汗が多く煩燥し、ヒューヒューして喘ぐ、安静のときも言語が多い。身体に炭を焼いたような高熱があれば、発汗することで熱を散る。「靜則多言」について、『類経・疾病類・五』では「邪熱は傷陰して、精神が乱れるから、故に秩序のない話をよくする」と説明している。『素問釈義』では誤りと疑っている。

⑤因於湿、首如裹、湿熱不攘、大筋緛(ぜん)短、小筋弛長、緛短爲拘、弛長爲痿:湿邪によるものは、頭部が布に巻かれたように重い、湿と熱が重なり除去できなかったら、諸筋が損傷され、短縮或は弛緩になる。短縮されたものは痙攣となり、弛緩となったものは痿弱となる。「大筋緛短、小筋弛長」について、『素問経注節解・巻一』では、「大筋が緛短、小筋が弛長」ということではなく、大筋も小筋も緛短になったり、弛長になったりして、正常な伸縮機能が失うことであると説明している。

⑥因於気、爲腫:風邪によるものは、浮腫を招く。『素問直解・巻一』では、「風」のことであると説明している。『陰陽応象大論』にも「陽の気は天地の疾風で命名する」。

⑦四維相代、陽気乃竭:以上四種(四時)の邪気が互いに絡み合い絶えなく身体の周囲に存在し、交代して人体に侵入すると、陽気を耗竭させる。

【説明】本節は生理と病理二つの方面から、陽気が身体への重要性を説明した。陽気は身体にとって「若天与日」という存在であり、「陽気失常、衛外不固」だと、邪気が侵入し易くなり病気になると強調している。

「是故陽因而上、衛外者也、因於寒、欲如運枢、起居如驚、神気乃浮。因於暑、汗、煩則喘喝、靜則多言、体若燔炭、汗出而散。」の順序について、歴代の注釈は一致してない。『素問呉注』の注釈は比較的に合理であるので、それに従って次にように調整してみた:「是故陽因而上、衛外者也、欲如運枢、起居如驚、神気乃浮。因於寒、体若燔炭、汗出而散。因於暑、汗、煩則喘喝、靜則多言。」

こうすれば、その訳は「陽気は衛外、天の運転のように止まることがない。生活リズムが急速になり、陽気を擾動したら、神気が外へ浮越し易い。傷寒されると、身体に炭を焼いたような高熱がでる、発汗することで熱を散る。傷暑されると、汗が多く煩燥し、ヒューヒューして喘ぐ、安静のときも言語が多い。」これで、前後の連関性がよく、陽気の衛外機能が失常によって寒・暑・湿・風四種の邪気を感受した病証についての論述も臨床と一致となっている。


(李)
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by jbucm | 2015-05-28 10:02 | 中医学 | Comments(0)