『黄帝内経』筆記 病因病機学説(十)

素問・生気通天論篇第三⑩

【説明】本段は、五臓が関連する整体観念を反映し、これに通じて、陰の「本」及び陰の「所傷」について詳しく解明している。なお、飲食五味の偏りが身体を損傷することを指摘し、養生の指導や病機の分析、及び臨床治療などに一定的な意義がある。

 飲食五味は人体に「養」と「傷」という二重の作用がある。飲食五味から化生した精微が五臓を滋養するので、「五臓精気の源」である。一方、五味の摂取が偏ることによって「太過」が発生し五臓を損傷し、五臓間の平衡と協調関係が破壊され、病変となる。『素問・至真要大論』に、「五味が胃に入り、それぞれ好きな場所に行く。故に、酸は先に肝に入る、苦は先に心に入る、甘は先に脾に入る、辛は先に肺に入る、咸は先に腎に入る。(各臓の)気を補益する、これは正常である。しかし、気を増加し過ぎると、病気を引き起こす原因となる」と指摘した。これは、「水は舟の運行通路であるが、舟を浸かるものでもある」と同じ道理である。

飲食五味は人体の生命活動を維持する物質的基礎である。飲食五味が調和であれば、五臓の精気は充満し全身を養うことができ、臓腑の陰陽も協調できる。それで正常に発育し、骨格が丈夫、筋脉が柔和、気血が流暢、腠理が緻密であり、健康な身体となる。しかし、飲食五味が失調な状態、つまり五味が偏りになれば、五臓に害が発生する。故に、「謹和五味」は養生の重要な法則の一つである。

飲食五味の偏り(太過)で臓腑を損傷する規律について、一般的では先ず本臓を損傷する。例えば、酸味を過食する場合は、先に肝を損傷する。その後、本臓の機能が失調でそれと相乗や相克など関連している臓に及んで多種の病変が発生する。

上文にある「大飲」、「膏梁之変」と『素問・上古天真論』にある「飲食有節」などの内容に合わせると、飲食の調節には、食材の質、量、種類や食事を摂る時間など多方面が含まれていることが分かる。

なお、この「五味入五臓」という理論は陰陽学説によるものである。実際は、五味がそれぞれ単一の臓に入るだけではなく、その臓と特殊な親和力があることを説明しているだけである。故に「先に○臓に入る」といっている。『素問・五蔵生成論』にも本篇と違う角度から視る(本臓が克される臓を病変させる)関連記載があり、合わせて勉強すると良い。飲食五味による損傷は複雑で、なお体質など多方面の素因にも影響を受けるため、臨床では、実際に現れた症状で具体的な分析するべきである。また、このように原文を理解して欲しい。

では、今回を持って本篇の勉強を終わりにします。8月は夏期講習の内容を連載したいので、9月からまた、続けて病因病機学説に関する『霊枢・五変』を勉強したと思います。

(李)
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by jbucm | 2015-07-30 10:22 | 中医学 | Comments(0)

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