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『黄帝内経』筆記 病因病機学説(十三)

霊枢・五変第四十六③

【原文】黄帝曰:一時遇風、同時得病、其病各異①、願聞其故。少兪曰:善乎哉問!請論以比匠人。匠人磨斧斤、砺刀削、斫材木。木之陰陽、尚有堅脆、堅者不入、脆者皮弛、至其交節、而缺斤斧焉②。夫一木之中、堅脆不同、堅者則剛、脆者易傷、况其材木之不同、皮之厚薄、汁之多少、而各異耶③!夫木之蚤花、先生葉者、遇春霜烈風、則花落而葉萎④;久曝大旱、則脆木薄皮者、枝條汁少而葉萎⑤;久陰淫雨、則薄皮多汁者、皮潰而漉⑥;卒風暴起、則剛脆之木、枝折杌傷⑦;秋霜疾風、則剛脆之木、根搖而葉落⑧。凡此五者、各有所傷、况於人乎⑨?
黄帝曰:以人應木、奈何⑩?少兪答曰:木之所傷也、皆傷其枝、枝之剛脆而堅、未成傷也⑪。人之有常病也、亦因其骨節皮膚腠理之不堅固者、邪之所舍也、故常為病也⑫。

【注釈】①一時遇風、同時得病、其病各異:一緒に邪気を感受し、同時に病気にかかるが、違う病証になる。

②請論以比匠人。匠人磨斧斤、砺刀削、斫材木。木之陰陽、尚有堅脆、堅者不入、脆者皮弛、至其交節、而缺斤斧焉:職人が伐採することにたとえてみる。職人が斧や刀を磨くのは、木材を伐採するためである。木の陰面と陽面は堅さに違いがあり、堅いほうが伐りにくい、脆いほうが外側の皮が緩んでいるから伐りやすい。ふしの部分に当たると、斧や刀が破損し欠けてしまうこともある。「斧斤」は斧で、「刀削」は刀である。斫(しゃく)は伐るという意味である。

③夫一木之中、堅脆不同、堅者則剛、脆者易傷、况其材木之不同、皮之厚薄、汁之多少、而各異耶:同じ木材にも堅さが違う。堅いほうが強い、脆いほうが傷つけやすい。違う種類の木材においては、皮の厚さや、汁の多さなどの違いによって性質も異なる。 

④夫木之蚤花、先生葉者、遇春霜烈風、則花落而葉萎:凡そ花が早く咲き、葉が先に生長するものは、春の露や強い風に遭遇すると花が落ち、葉が枯れる。「蚤」は「早」である。

⑤久曝大旱、則脆木薄皮者、枝條汁少而葉萎:長期間の熱日と大干ばつに遭遇すると、脆く皮が薄い樹木は、枝に汁が少なく葉が枯れる。

⑥久陰淫雨、則薄皮多汁者、皮潰而漉:長雨が続くと、皮が薄く汁が多い樹木は、皮が潰爛し水が滲みる。

⑦卒風暴起、則剛脆之木、枝折杌傷:突然の暴風が起きるとき、強靭な樹木には枝が折れ、損傷される。「杌(う)傷」について、『類経・疾病類・七十六』には「枝がない木である」と記載している。

⑧秋霜疾風、則剛脆之木、根搖而葉落:秋霜と猛烈な風に遭遇するとき、強靭な樹木では根元が揺れて、葉は落ちる。

⑨凡此五者、各有所傷、况於人乎:凡そこの五つ異なる情況があって、それぞれ損傷の原因と程度が違う。人においてなおさら違う症状が出る。

⑩以人應木、奈何:人を樹木の相応変化に喩えると、どうなるか?

⑪木之所傷也、皆傷其枝、枝之剛脆而堅、未成傷也:樹木の損傷は、皆枝から損傷される。樹木の枝が強靭で堅固のものは損傷されない。

⑫人之有常病也、亦因其骨節皮膚腠理之不堅固者、邪之所舍也、故常為病也:人体に病を患うのも、骨節や皮膚腠理が堅固でないもので、邪気が侵入し停留するためである。故に病気になり易い。

【説明】本節は、木の品質によって損傷される程度が違うことを喩えにし、人も体質の差別があって病気に罹りやすいほうと罹りにくいほうがあり、なお、病気に罹っても病変の差違があることを説明している。

『内経』には、「体質」という言葉が出てないが、体質に関する論述は多く出ている。下記のように纏めておく:

①五行の類別で体質を論じる:『霊枢・陰陽二十五人』に、陰陽五行学説の理論に基づいて、皮膚の色・形体・声・性格などと時令との関係を論じ、人の体質を25種類に分類している。

②陰陽の偏りで体質を論じる:『霊枢・通天』に、陰陽の偏りの程度を意識・性格・容貌などに合わせて、人体の体質を太陰・少陰・太陽・少陽及び陰陽平和という五種類に分別している。

③五体の差違で体質を論じる:『霊枢・衛気失常』に、皮・肉・膏・脂の違いで、体質を膏・肉・脂三種類に分別している;なお、『霊枢・論勇』には、皮膚の厚薄・肌肉の堅脆緩急・色沢などの違いで体質を勇・怯・忍痛・不忍痛など四種類に分別している。

本篇も人の皮膚・肌肉・腠理・骨節などの違いで体質と疾病の関係を論述している。


(李)
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by jbucm | 2015-10-01 10:10 | 中医学 | Comments(0)
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