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『黄帝内経』筆記 病因病機学説(十五)

霊枢・五変第四十六⑤

【原文】黄帝曰、人之善病寒熱者、何以候之?少兪答曰:小骨弱肉者、善病寒熱⑩。黄帝曰:何以候骨之小大、肉之堅脆、色之不一也?少兪答曰:顴骨者、骨之本也。顴大則骨大、顴小則骨小⑪。皮膚薄而其肉無*(月へんに囷)、其臂懦懦然、其地色殆然、不與其天同色、汚然獨異⑫、此其候也。然後臂薄者、其髓不滿、故善病寒熱也⑬。

黄帝曰:何以候人之善病痹者?少兪答曰:粗理而肉不堅者、善病痹⑭。黄帝曰:痹之高下有處乎?少兪答曰:欲知其高下者、各視其部⑮。

黄帝曰:人之善病腸中積聚者、何以候之?少兪答曰:皮膚薄而不澤、肉不堅而淖澤。如此、則腸胃惡、惡則邪気留止、積聚乃傷⑯。脾胃之間、寒温不次、邪気稍至、稸積留止、大聚乃起⑰。

【注釈】⑩小骨弱肉者、善病寒熱:骨格が細く小さい、肌肉が弱い人は、寒熱病に患いやすい。

⑪顴骨者、骨之本也。顴大則骨大、顴小則骨小:顴骨は骨格の標識である。顴骨が大きければ、周身の骨も大きい、顴骨が小さければ、周身の骨も小さい。

⑫皮膚薄而其肉無*(月へんに囷)、其臂懦懦然、其地色殆然、不與其天同色、汚然獨異:皮膚が薄くて、筋肉の隆起もない、腕に力がない、あごがさえない色であり額の色と一致しなく、独異な汚れでいる色に見える。*(月へんに囷)は、筋肉の隆起の表現である。「懦懦然」とは、弱く無力の様子である。

⑬然後臂薄者、其髓不滿、故善病寒熱也:同時に、腕の肌肉が薄いものは、その骨髄も充満でない、故に寒熱病に患いやすい。

⑭粗理而肉不堅者、善病痹:腠理が粗く、肌肉が堅くないものは、痹病に患いやすい。

⑮痹之高下有處乎?欲知其高下者、各視其部:痹病の上下部位は一定するか?痹病発病の上下部位を知るには、先に各部位の虚弱情況を知ることである。痹病には、皮痹、肌痹、筋痹、骨痹、脈痹、腸痹、胞痹及び五臓痹などがあり、故に発生の部位に上下、左右、深さなどの違いがある。

⑯皮膚薄而不澤、肉不堅而淖澤。如此、則腸胃惡、惡則邪気留止、積聚乃傷:皮膚は薄くつやがない、肌肉が堅くなく潤滑でないもの。これで、その胃腸の機能が悪いことが分かる。故に邪気が停留しやすく、積聚になり、脾胃の機能を損傷する。「淖澤(どうたく)」は湿潤の意味である。

⑰脾胃之間、寒温不次、邪気稍至、稸積留止、大聚乃起: 脾胃の間に寒温の不調があると、ちょっとした邪気が侵入しても蓄積停留するから、段々積聚病になる。「稸」は「蓄」と同じである。

【説明】本段(前回と今回の分)は、病変と体質に関する論述である。風厥、消癉、寒熱、痹、積聚という五種の病変の病機について分析し、体質の異なることで発病が違うという道理を説明している。

『内経』では、疾病の発生及び変化の過程にある個人差を重視している。下記の2ヶ所を注意しなければならない。

①病変の所在は、往々にして機体の弱いところである。例えば、皮肉筋骨が弱い場合は痹病、風厥、寒熱に罹りやすい;五臓六腑が弱い場合は消癉、積聚に罹りやすい。

②体質によって感受しやすい邪気が異なり、多発の病気も異なる。例えば、「肉不堅、腠理疏則善病風」、「五藏皆柔弱者、善病消癉」、「小骨弱肉者、善病寒熱」、「粗理而肉不堅者、善病痹」、「皮膚薄而不澤、肉不堅而淖澤…(腸中)積聚乃傷」。これらの論述は中医の発病学において全面的に認識するのに指導的な意義がある。


(李)
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by jbucm | 2015-11-19 10:30 | 中医学 | Comments(0)