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『黄帝内経』筆記 病因病機学説(十九)

霊枢・百病始生第六十六③

【原文】黄帝曰:余固不能數、故問先師、願卒聞其道①。岐伯曰:風雨寒熱、不得虚、邪不能獨傷人。卒然逢疾風暴雨而不病者、蓋無虚、故邪不能獨傷人②。此必因虚邪之風、與其身形、両虚相得、乃客其形。両実相逢、衆人肉堅③。其中於虚邪也、因於天時、與其身形、参以虚実、大病乃成④。気有定舍、因処爲名、上下中外、分爲三員⑤。

【注釈】①余固不能數、故問先師、願卒聞其道:複雑多端な病変を全部解明できないから、先生に聞きたい、その道理を全て教えて欲しい。

②風雨寒熱、不得虚、邪不能獨傷人。卒然逢疾風暴雨而不病者、蓋無虚、故邪不能獨傷人:正常の場合、風雨寒熱は致病の邪気ではない、人体を損傷することがなく、病気にならない。突然疾風暴雨に遭遇しても病気にならないのは、その人の身体が頑丈で正気が虚弱してないため、邪気も人体を損傷することができない。

③此必因虚邪之風、與其身形、両虚相得、乃客其形。両実相逢、衆人肉堅:疾病の発生は、必ず身体が虚弱している上に賊風邪気を受け、両虚が相合するから疾病が発生する。もし身体が頑丈で四時の気候も正常であれば、みんなの肌肉が堅実であり発病しない。「両虚」とは、全て致病する異常な気候を虚邪に称し、また正気(気血、津液、精気)の虚弱と正気の不和を含んで、正虚と言う。「両実」とは、人の実気(生気が充実)と天の実風(正常な気候)のことである。

④其中於虚邪也、因於天時、與其身形、参以虚実、大病乃成:故に凡そ疾病発生の決定的な要因は、四時の気候が正常であるかどうか、及び身体が丈夫であるかどうかである。正虚邪実であれば、疾病が発生する。

⑤気有定舍、因処爲名、上下中外、分爲三員:邪気はそれぞれ持つ性質によって人体の一定的な部位から侵入する。侵入の部位によって命名される。概ね、縦では上、中、下の三部で、横では表、裏と半表半裏の三部に分けられる。

【説明】本節は、「卒然逢疾風暴雨」後、疾病が発生すると発生しないことを対照しながら、「両虚相得」は外感発病の機理であることを説明した。人体の正気の強弱は発病するかどうかの決め手であり、正気が発病に主導的な作用を発揮していることを強調した。『素問遺篇・刺法論』に「正気内存、邪不可干」、『素問・評熱病論』に「邪之所凑、其気必虚」と言っている。『内経』の発病観では、一般的に、正気の盛衰は発病の根拠で、致病の素因(外感六淫、七情の失常、飲食の不節制、勞倦過度など)は発病の条件である。これは疾病の治療と予防に指導的な意義がある。

「気有定舍、因処爲名」の論述は、『内経』に病証を命名する根拠の一つである。例えば、『素問・熱論』に「邪客於表」の場合は太陽病、陽明病、少陽病を、「邪入於裏」の場合は太陰病、少陰病、厥陰病を命名している。これは、邪気が定舍している経脈によって命名したのである。

(李)
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by jbucm | 2016-01-14 10:45 | 中医学 | Comments(0)