こんには。今回は、気の運動形式を紹介しましょう。
気は常に身体の中で動いています。その運動形式は一定的な方向があります。大きく分けると、気には四つの基本的な運動形式があります:昇・降・出・入(しょうこうしゅつにゅう)です。それぞれ上下内外の四つの方向に動き、そして、バランスを保っているということです。
気の昇・降・出・入は、主に五臓六腑の気の話しです。具体的な例を挙げて、説明いたしましょう:
肝気(かんき):肝の主な働きは疏泄(そせつ)を司る。
その主な内容は昇発気機(しょうはつきき)です。また、肝は代謝産物を排泄する働きもあります。これは、肝気の動きの方向が上(昇)と外(出)という事です。
脾気(ひき):脾の生理機能は昇清(しょうせい)です。脾気の動きの方向は上(昇)です。
胃気(いき):胃は和降(わこう)を司り、食べ物を下行させる働きがあるので、胃気の動きの方向は下(降)です。
肺気(はいき):肺は、宣発粛降(せんぱつしゅくこう)を司り、栄養物質や代謝産物を体の表面に運び、また、下行させるので、肺気の運動方向は主に外(出)と下(降)です。
腎気(じんき):腎は封蔵(ふうぞう)と納気(のうき)を司り、精気などを貯蔵し、栄養物質や代謝産物を体内に運び、下行させるので、腎気の運動方向は主に内(入)と下(降)です。
中医学では、臓腑の働きなどは、バランスをとることが大切だと考えます。つまり、各臓腑は、互いに関連を持ちながら働いていると考えます。臓腑の気の動きもそうです。良く見られる関連する臓腑の気の働きの例を挙げます。
①肝と胃:肝は気を上昇させ、胃は食べ物を下行させます。肝の上昇作用が強すぎるか、胃の下行作用が弱いと、げっぷが出たり、嘔吐したりします。
②脾と胃:脾は営養物質を上昇させ、胃は食べ物を下行させます。脾気の上昇作用が弱いと、下痢したり、内臓下垂になります。また、胃気の下行作用が弱いと、げっぷが出たり、酸っぱい水が上がってきたり、嘔吐したりします。
③肝と肺:肝は気を上昇させ、肺は気を下行させます。バランスが崩れ、肝の上昇作用が強すぎるか、肺の下行作用が弱いと、咳が出たり、呼吸困難になったりします。
④肺と腎:肺が呼吸を、腎が納気を主り、合わせて呼吸をスムーズにします。肺気が弱いと息を吐くのが苦しく、腎気が弱いと息を吸うのが苦しい呼吸困難や喘息になります。
次回からは、気の病証(気の弁証)について、話を致します。