気血津液と臓腑の話(32)


⑤燥邪犯肺:秋令燥邪による犯肺、津液虧少、肺が失潤による証候です。

【臨床表現】:乾咳無痰、或は痰が少なく粘って出難い、口・鼻・唇・咽喉の乾燥、便が乾燥、或は全身痛、悪寒発熱、舌乾苔簿の薄黄、脈は数、或は細数。

【証因分析】:秋にある燥邪は肺の津液を損傷し易いので、肺に潤いが失い、肺失清粛の故に乾咳無痰或いは痰粘且つ出難い。気道も乾燥するため、口・鼻・唇・咽喉の乾燥などが見られます。肺気は衛気に通じるので、燥邪が侵入すると、身熱悪寒などの衛表症状(秋の風邪)もみられます。

 夏に近い秋口に罹る燥邪は「温燥」といい、表証の症状は風熱感冒に似ていますが、冬の近くに罹る燥邪は「涼燥」といい、その表証の症状は風寒感冒に似ています。なお、もし燥邪が化火したら、肺絡(肺内の小さい血管)を焼灼し、胸痛や血痰などの症状も見られます。

⑥痰湿阻肺:痰が肺に停集し、肺失宣降して咳痰、喘哮を表す証候です。

【臨床表現】:咳嗽で痰が多く、痰質は稠か稀、色は白く出やすく、胸悶か気喘、哮鳴、喉中に痰声を聞こえ、舌淡、苔は白膩で、脈象は滑。

【証因分析】:外邪束肺か肺気虧虚により肺津不布を招き、肺内に停集して痰となります。又は、脾失健運により湿がたまって痰となり、肺にとどまってこの証となります。痰湿阻肺証には寒、熱の違いがありますが、一般的に寒証の方が多いです。臨床では、痰の色や舌、脈等に基づいて弁別するべきです。痰が肺気を阻渋し、肺失宣降なので、咳喘胸悶、沢山の痰を吐く、中で痰質が稠密の場合では、息道を塞ぎ、哮喘痰鳴を見ます。白膩の舌苔は痰の性質が偏寒なのを物語っています。

 なお、肺内にある飲証――支飲は、痰湿阻肺証とは違う病証になりますので、区別しなければなりません。

 次回は、大腸の病証を紹介致します。
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by jbucm | 2008-08-07 09:30 | 中医学 | Comments(0)

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