国立北京中医薬大学日本校が運営するブログです

by jbucm

カテゴリ:中医学( 457 )

当校では、世界中医薬連合会が主催する国際中医師試験に参加するのは、年に一度のみです。2016年(平成28年)度は、10月9日(日)・10日(月・祭)に開催する予定です。今回受験される方は、これから試験準備を始めましょう。

この数年間、国際中医師試験の内容は変わっておりませんが、合格基準は年々厳しくなっています。
2012年度より、試験の内容及び合格基準は下記の通りになっております:

1.中医基礎理論
2.中医診断学
3.中薬学
4.中医方剤学
5.中医臨床総合
上記各科目の問題形式は共に、A型・B型選択問題を100問で、総点数100点で合格ラインは60点です。
   *「中医臨床総合」に、中医内科学70%、中医婦人科・中医小児科・中医外科学各10%を占めます。
6.弁証論治: 問題形式は症例分析です。全4問を総点数が100点で合格ラインは60点です。
   *「弁証論治」に、カルテの書き方を含む。4問の症例の中、3問が内科の症例です。

 上記1~6の回答時間はそれぞれ90分です。

試験の準備は、大きく二つに分けられます:
その①は選択問題の練習です(『国際中医師標準試験復習大綱』を使用する);
その②は弁証論治の練習です(内科学で詳しく勉強する各病証をしっかり覚えておくこと、臨床研究科を積極的に聴講する)。

  つきまして、「弁証論治」を除く5科目は、2011年に発行された『国際中医師標準試験復習大綱』(以下は『問題集』という)をしっかりと復習すれば、合格できると考えます。但し、『問題集』の問題数が多いので、たくさんの時間を掛けなければなりません。

昨年の3~4月、過去に受けましたこの『問題集』に関する質問を整理して、ブログに連載致しました。下記はそのURLです。良かったら、是非ご参考下さい。現在復習中の皆様に少しでもお役に立つことができれば、嬉しいです。
  1.中医基礎理論
  2.中医診断学  
  3.中薬学 
  4.中医方剤学 
  5.中医臨床総合
  6.弁証論治解答例
 
  まず、中医基礎理論の問題から解いていきましょう。担任の教授は勿論応援致しますが、教務担当の李(り)と周(しゅう)も皆様を応援致しておりますので、勉強について分からないことなどがありましたら、どうぞ、遠慮なく、いつでも質問をして下さい。

(李)
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by jbucm | 2016-04-14 12:58 | 中医学 | Comments(0)
霊枢・賊風第五十八②

【原文】黄帝曰:夫子言賊風邪気之傷人也、令人病焉、今有其不離屏蔽、不出空穴之中、卒然病者、非不離賊風邪気、其故何也①?岐伯曰:此皆賞有所傷于湿気、藏于血脈之中、分肉之間、久留而不去②。若有所墮墜、悪血在内而不去、卒然喜怒不節、飮食不適、寒温不時、腠理閉而不通③、其開而遇風寒、則血気凝結、與故邪相襲、則爲寒痺④。其有熱則汗出、汗出則受風、雖不遇賊風邪気、必有因加而発焉⑤。

【注釈】①夫子言賊風邪気之傷人也、令人病焉、今有其不離屏蔽、不出空穴之中、卒然病者、非不離賊風邪気、其故何也:先生は賊風邪気が人体を損傷したから、人が病気になると言っている。しかし、屏蔽から離れなく、部屋を出ない人も突然病気に罹る、決して賊風邪気を避けてないことではない。これはなぜ?

「空穴」について、『甲乙経・巻六・第五』などは「室穴(部屋)」であると説明している。「離」は避けるという意味である。

②此皆賞有所傷于湿気、藏于血脈之中、分肉之間、久留而不去:これは、普段邪気による損傷があったことである。例えば、湿気による損傷が血脈の中や分肉の間に埋蔵され、久しく滞留して除去されてないものである。

③若有所墮墜、悪血在内而不去;卒然喜怒不節、飮食不適:或は転んだなどの外傷の後、体内に瘀血が起こり除去されてない;或は突然過度な喜怒、不適切な飲食を摂る。

④寒温不時、腠理閉而不通、其開而遇風寒、則血気凝結、與故邪相襲、則爲寒痺:或は気候の寒温に不注意して腠理が閉塞不通になる。或は腠理が開泄の時に風寒を感受され気血が凝結し、(新しい風寒の邪気が)故邪(体内にあった湿邪)と結び合い、寒痺となる。

「寒痺」について、『霊枢註証発微・巻七』では、「腠理が開いている時に風寒の邪気に遭遇したら、気血が凝結して、湿気や悪血などの故邪と相互影響し痺を形成する。即ち『痺論』に謂う寒気勝者は痛痺である」。

⑤其有熱則汗出、汗出則受風、雖不遇賊風邪気、必有因加而発焉:または、熱い時に汗をかき、汗が出ると風邪を感受したら、賊風邪気に遭遇しなくても、故邪があるから必ず「因加而発」で発病する。

(続く)

(李)
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by jbucm | 2016-03-24 10:09 | 中医学 | Comments(0)
こんにちは、周です。今回は中医名言―「腎者主水、受五臓六腑之精而蔵之」を紹介します。

出典:《素問・上古天真論》
ここの腎主水(腎は水を主る)の「水」は、精気を指します。女子の月経と男子の精液は液体状(水液)ですから、「水」と見なされます。腎は五臓(心・肝・脾・肺・腎)六腑(胆・胃・大腸・小腸・膀胱・三焦)の精を受けて、これを蔵します(腎蔵精)。五臓六腑の精気は腎に貯えられ、先天の精気を充実させます。

腎蔵精の精は2つの意味があります。一つ目は五臓六腑の精で、水穀の精(水穀精微とも言う、飲食物の中に栄養分になるもの)から生化(転化)され五臓六腑の精気となります、二つ目は先天の精・父母からの稟賦(生まれつき)です。ここの「精」は主に一つ目の精を指します。五臓六腑の精気と腎気は互いに影響し合います、つまり五臓六腑の精気の盛衰と腎気の盛衰は互いに影響を与えます。また腎は人体の生殖・生長発育を主りますので、腎気の盛衰も生殖・生長発育に関係があります。
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by jbucm | 2016-03-14 09:30 | 中医学 | Comments(0)
霊枢・賊風第五十八①  

篇名について

「賊」とは傷害の意味である。『類経・疾病類・三十三』に「賊者、傷害之名」と言い、「賊風は四時不正の気を指し、賊風邪気とも謂う」と注釈している。自然界の異常な気候が人体正気を損傷するとされる。本篇は賊風が人体を損傷する時の病理と病証を討論している。

主な内容と学習のポイント:

① 寒痺を例として、邪気が「因加而発」の機理を論述した→寒痺の病因病機と「因加而発」の意味及びその機理を把握すること。

②故邪を持つ上に情志素因が加えられた時の病理及び病変の特徴を紹介した→故邪の概念を明確すること。

③「祝由(しゅくゆう)」が一部の疾病を治療できるとその道理を述べた。→祝由の治病道理を了解すること。

* 因加而発:故邪(旧邪)が身体に潜伏しているまま、また新たな邪気を感受して発病することを指す。

* 故邪:体内にもともと潜伏した邪気を指す。風寒湿燥火の邪気や痰飲、瘀血などが含まれる。

* 祝由:中国古代で祝をもって病者を治すもの、または祝説によって医事を行うものの職名である。現代の心理療法に相当する。

(李)
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by jbucm | 2016-03-10 10:15 | 中医学 | Comments(0)

貝母の由来

こんにちは、周です。今回は中薬―貝母の話です。

ユリ科Liliaceaeのアミガサユリ属植物各種の地下鱗茎、きわめて多種基原の中薬であります。川貝(青母)と浙貝(大貝・象貝)の2種があります。川貝は苦・甘、微寒で、浙貝は苦・寒で、ともに肺・心経に帰経します。化痰止咳・清熱散結作用があります、熱痰・燥痰の咳嗽、瘡癰瘰癧、乳癰に有効であります。川貝は潤肺化痰に長じて肺虚久咳・痰少咽燥に適するのに対して浙貝は苦寒で開泄や清火散結の力が強く、外感風熱や痰火鬱結による咳嗽に適します。両者とも清熱散結作用がありますが、浙貝のほうが優れますので、用途は広く、瘡癰瘰癧・乳癰に用いられます。烏頭に反しますので、要注意です。
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貝母の由来を紹介します。
大昔、ある賢恵美麗的女子(善良で聡明な女性)は結婚した後、夫婦二人は愛し合っていますが、なかなか子に恵まれなかったですので、姑に主人との離婚を迫られました。某日、こっそりと泣いている彼女を通りかかった郎中(医者)は事情を尋ね・診察した後、ご主人にこう言いました:あなたの夫人が懐妊できない理由は、体内に痰結があるからです。今、私が妊娠させる簡単な方法を教えますー毎日ある草薬(生薬、のちに貝母と称するもの)を煎じて飲むこと。私は保証します、三ゕ月を飲み続ければ絶対懐妊できますよ。早速、翌日から教えられた草薬(地下の鱗茎)を採りに行き、毎日続けて三ゕ月間煎じて妻に飲ませました。そして懐妊して、1年後に元気な子供(男の子)を産みました。

子息が産まれましたので、一家(特に姑)はお喜び!
皆にこの草薬の名前を聞かれました。この草薬は親(=嫁)の懐妊を補助してからこそ宝児子(息子は宝とされる)を産みましたので、貝母と呼びましょう、と姑が言いました。
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by jbucm | 2016-03-07 09:30 | 中医学 | Comments(0)
霊枢・百病始生第六十六⑧

【原文】黄帝曰:其生於陰者、奈何①?岐伯曰:憂思傷心、重寒傷肺、忿怒傷肝②;醉以入房、汗出當風傷脾③;用力過度、若入房汗出浴、則傷腎④;此内外三部之所生病者也。黄帝曰:善。治之奈何?岐伯答曰:察其所痛、以知其應、有餘不足、當補則補、當瀉則瀉、毋逆天時、是謂至治⑤。

【注釈】①其生於陰者、奈何?:病気がどうして内臓に発生するのか?

②憂思傷心、重寒傷肺、忿怒傷肝:憂愁思慮過度では心臓が損傷される、外感重い寒邪を感受すると肺臓が損傷される、怒ると肝臓が損傷される。

③醉以入房、汗出當風傷脾:酒酔っているまま房事する時に汗が出て、風に当たると脾臓が損傷される。

④用力過度、若入房汗出浴、則傷腎:力使い過ぎ、或は房事で汗が出たらすぐに入浴すると、腎臓が損傷される。

⑤此内外三部之所生病者也:これらは内外三部に発生する疾病の一般的な情況である。

⑥察其所痛、以知其應、有餘不足、當補則補、當瀉則瀉、毋逆天時、是謂至治:その疼痛の部位を審査し、病変の部位を知る。証候の虚実を根拠にして補虚瀉実の方法で治療する。同時に、四時気候の規律を反してはいけない、これは最善な治療原則である。

【説明】本段は五臓病の常見病因及び診療法則を論述している。原文の例によると、五臓の発病に、多くは内外両方の原因が兼ねる。『霊枢・邪気蔵府病形』に「憂愁恐惧則傷心、形寒寒飲則傷肺、以其両寒相感、中外皆傷、故気逆而上行……」、『素問・本病論』に「憂愁思慮即傷心」、「飲食勞倦即傷脾」、「久坐湿地、強力入水即傷腎」、「或恚怒、気逆上而不下、即傷肝」など同じような記載があり、合わせて勉強すると良いでしょう。五臓病の常見病因に、精神情志の失調は心肝を、寒邪の侵入は肺を、飲食の不節制は脾を、房労過度と勞倦は腎を損傷するという観点を提示し、後世の臓腑弁証に根拠を提供している。

本段は疾病の治療原則を提示している。定性、定位の弁証施治、及び自然に従うという整体治療の理論的根拠となっている。

まとめ:本篇は、外感と内傷病の発病原因と機理、部位病邪伝変について論述し、疾病発生の過程に人体の正気の重要性を強調した。養生や疾病の予防と早期治療に理論的根拠を提供している。なお、『内経』の素朴的弁証法思想を体現している。

本篇中「積証」についての論述は、臨床実践に一定な指導的意義があり、特に現代の腫瘍の発病機理及び治療方法の研究に啓発している。例えば、子宮筋腫、肝硬変、脾臓の腫れ、腹腔の腫瘍などを「積病」で弁証論治している。

次回からは『霊枢・賊風』を勉強しましょう。

(李)
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by jbucm | 2016-03-03 09:46 | 中医学 | Comments(0)

縁起がよい文旦(柚子)

こんにちは、周です。今回は文旦(柚子)話です。
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柚子は、柑橘類の一種であります。古人は文蛋(現在は文旦と書きます)と呼びます。原産は東南アジア・中国南部・台湾で、中国南方の広西省、福建省で多く栽培します。中国の広西省容県の「沙田柚」が良質とされています。性味は甘酸・寒で、脾・肝経に帰経します。消食化痰・理気平喘作用があります。消化不良、咳嗽、気喘、酒酔に用いられます。

≪日華子本草≫に、こう記載してあります:治妊婦人食少並口淡、去胃中悪気、消食、去腸胃気、解酒毒、治飲酒人口気。

沙田柚は古く(約2000年前)から栽培されています。沙田柚の名は、清の乾隆皇帝に付けられたというエビソートがあります(沙田県出身の朝廷官吏が柚を乾隆皇帝に献上しました)。その後、沙田柚は朝廷に朝貢するようになり、世界に知られるようになりました、需要も増え、1930年より容県以外の臨桂県・陽朔県も栽培し始めました(臨桂県・陽朔県の土壌の性質は容県と類すから)。今は臨桂県・陽朔県産の柚も容県産の柚と同じように「沙田柚」と称します。

沙田柚は広西省伝統的な輸出品として名が知られ渡っています。唐の詩人である張彤は、柚子を詠む詩を残りました:
樹樹籠煙疑帯火
山山照日似懸金

柚子の外形は真ん丸で、団圓与美満(団聚する、再会する、幸せで円満である)を象徴しますので、縁起が良いものとして南方の人々に喜愛されています。私の故郷(広州)では、中秋節や春節の時に柚子を食べます。結婚する家庭に柚子を飾ります(特に新郎新婦の寝室に欠かせない飾りものとなっています。広州語の柚子を「有子」(柚子=有子に因んで)と発音しますから、結婚した後に早く子供が生まれるという願望を表します。

柚子果肉は果汁が少ないが独特の甘みと風味を持ちます。果肉を生食する他に、皮も用いて加工品原材料として砂糖漬けなどを作ります。柚子皮を主原料にして作られた広東省東莞市石龍鎮の特産品―「麦芽糖柚皮」は有名です。また柚子皮も野菜として食べられます。
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現代営養学観点から見ますと、柚子は高い栄養価が有します。豊富なビタミン・タンパク質・ナトリウム・カリウム・カルシウム・磷等を含んでいます。
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by jbucm | 2016-02-29 09:30 | 中医学 | Comments(0)
霊枢・百病始生第六十六⑦

【原文】黄帝曰:積之始生、至其已成、奈何①?岐伯曰:積之始生、得寒乃生、厥乃成積也②。黄帝曰:其成積奈何?岐伯曰:厥気生足悗、悗生脛寒、脛寒則血脈凝澀、血脈凝澀、則寒気上入于腸胃③;入於腸胃、則 * 脹、*(月へんに真)脹則腸外之汁沫迫聚不得散、日以成積④。卒然多食飮則腸滿、起居不節、用力過度則絡脈傷、陽絡傷則血外溢、血外溢則衄血;陰絡傷則血内溢、血内溢則後血⑤。腸胃之絡傷、則血溢於腸外、腸外有寒、汁沫與血相搏、則并合凝聚不得散、而積成矣⑥。卒然外中於寒、若内傷於憂怒、則気上逆、気上逆則六輸不通、温気不行、凝結蘊裹而不散、津液澀滲、著而不去、而積皆成矣⑦。

【注釈】①積之始生、至其已成、奈何?:積病の発生し始めから形成するまでの病理過程は何?

②積之始生、得寒乃生、厥乃成積也:積病の発生は、寒邪を受けたためである。寒邪が逆上すると積となる。

③厥気生足悗、悗生脛寒、脛寒則血脈凝澀、血脈凝澀、則寒気上入于腸胃:厥逆の気による病症では、最初は足の疼痛不利が発生する、足の疼痛からふくらはぎが冷える、足脛部の寒涼で血脈が凝澀する、血脈の凝澀不通で寒気が腸胃まで上がる。

④入於腸胃、則 *(月へんに真)脹、*脹則腸外之汁沫迫聚不得散、日以成積:腸胃が寒気を受けると脹満する、脹満では胃腸の回りにある津液が溜って消散できなくなり、日日が経つと積になる。

⑤卒然多食飮則腸滿、起居不節、用力過度則絡脈傷、陽絡傷則血外溢、血外溢則衄血;陰絡傷則血内溢、血内溢則後血:突然の暴飲暴食で腸胃が充満する、または、無規律な生活や力使い過ぎで絡脈が損傷される、陽絡が損傷されると血液が外溢し衄血が発生する;陰絡が損傷されると血液が内溢し、便血が発生する。「陽絡」と「陰絡」について、『霊枢集注・巻八』は「上行の絡脈は陽絡、下行の絡脈は陰絡である」と注釈している。臨床では、陽絡は体の上部又は表にある絡脈で、陰絡は体の下部又は裏にある絡脈であると認識している。

⑥腸胃之絡傷、則血溢於腸外、腸外有寒、汁沫與血相搏、則并合凝聚不得散、而積成矣:腸外の絡が損傷すると、血液が腸外に漏れる、もし腸外に寒があったら、腸外の津液と血液が混合して消散できず、積になる。「腸胃」は「腸外」の誤りである。

⑦卒然外中於寒、若内傷於憂怒、則気上逆、気上逆則六輸不通、温気不行、凝結蘊裹而不散、津液澀滲、著而不去、而積皆成矣:突然外感寒邪の同時に憂怒の情緒に内傷されると、気機が上逆する、気機が上逆すると六経の気血が運行不暢になる、陽気の温煦作用が失い、血液が凝結し経絡に蘊結して消散できず、津液も乾澀し組織に浸透しない、局部に溜まり、積になる。「六輸」は三陰と三陽の輸穴を指す。「温気」とは「陽気」のことである。

【説明】本節は「積」の病因病機を論述している。積を形成する原因が多い、例えば、外感寒邪、飲食の不節制、労力過度、生活リズムの乱れ、七情の失調などがある。積が形成する病機は大きく寒凝、気滞、血瘀、津停の四つであり、且つ四者は相互影響し合う。特に気滞、血瘀、津停は互いに因果関係となっている。この四つの素因を把握していれば、弁証と施治の方向が違いない。

積の形成は慢性的な過程である。一旦形成したら、頑固で治癒し難い。治療の際、体質が強い或は初期段階の場合は、活血化瘀、行気消積を主として、化痰養血を兼ねる;体質が弱い或は後期段階の場合は、養血活血を主として、攻補兼施をする。これらに関連する論述は、王清任氏の『医林改錯』と唐容川氏の『血証論』に多くあり、方剤も挙げてあるので、積病の治療に新しい道を開拓してくれた。


(李)
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by jbucm | 2016-02-25 10:16 | 中医学 | Comments(0)

温病学説とジカ熱

こんにちは、周です。今回は温病学説を紹介します。

清代には温病と総称される急性伝染病が明代に引き続き猛威を振い、正確な統計は残されていませんが、初清(1644年)から同治11年(1860年)までの214年間に84回を超える疾病が発生・蔓延したことが知られています。その中には傷寒(腸チフス)・霍乱(コレラ)・痢疾(赤痢)・マラリア・天花(天然痘)・猩紅熱・麻疹・白喉(ジフテリア)という伝染病が含まれていました。特に江南地域(長江下流以南)の気候は温暖湿潤で、人の往来も激しく人口稠密のため、最も頻繁に温病が流行しました。温病の流行を如何に抑え、発病した際に如何に治療するかが、医家達の課題となりました。

このような背景に、温病を研究した歴代が居ました。明・清代の呉有性・喩嘉言・戴天章・楊栗山・劉松峰・余師愚らは温病に対する病機、弁証の要点、有効な方剤について論述しました。清代に至って新たな一つの温病学学派を誕生しました。この温病学学派を代表するのは葉天士・薛雪・呉鞠通の医家です。葉天士は「温熱論」を著わし、温病の発生・進行パターンを明示するとともに、温病が衛気営血を侵入する4段階で弁証論治を提唱し、温病学説の理論体系を形成する重要な基礎となりました。薛雪の「湿熱条弁」・呉鞠通「温病条弁」は温病に対する三焦弁証を展開し、葉天士の学説を発展させました。このことによって「衛気営血」と「三焦」による弁証論治の体系が確立され、温病学説は大きな成熟期を迎えることになります。

中医学に温病学説の貢献は、以下の4つです。
1、熱性病に対する認識と治法が新たに創り出され、しかも温病学説は、その理論から弁証・用薬に至るまで経典と仰がれている「傷寒論」と同一でないことを世に示しました。
2、傑出な医家(温病学者)を輩出させました。
3、温病の治療に新たな治療法が持たされることによって、人の生命と健康を守る大きな後ろ盾となっていました。
4、温病学説は温病以外の学科疾患の治療に刺激を与え、新しい治療法を提供することとなりました。例えば、外科の疔瘡走黄(ちょうそうそうこう、病証名。疔毒が血分までに入り、危篤な状態である)の治療に応用されます。

以上から見ると、今中南米を中心にジカウイルス危惧されているジカ熱は、温病学説を用いて治療法が見付かるかもしれないと思います。
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by jbucm | 2016-02-22 09:30 | 中医学 | Comments(0)
霊枢・百病始生第六十六⑥

【原文】黄帝曰:願尽聞其所由然。岐伯曰:其著孫絡之脈而成積者、其積往來上下、臂手孫絡之居也、浮而緩、不能句積而止之、故往來移行①;腸胃之間、水湊滲注灌、濯濯有音、有寒則* *(月へんに真)滿雷引、故時切痛②。其著於陽明之経、則挾臍而居、飽食則益大、飢則益小③。其著於緩筋也、似陽明之積、飽食則痛、飢則安④。其著於腸胃之募原也、痛而外連於緩筋、飽食則安、飢則痛⑤。其著於伏衝之脈者、揣之應手而動、発手則熱気下於両股、如湯沃之状⑥。其著於膂筋、在腸後者、飢則積見、飽則積不見、按之不得⑦。其著於輸之脈者、閉塞不通、津液不下、孔竅乾壅、此邪気之從外入内、從上下也⑧。

【注釈】①其著孫絡之脈而成積者、其積往來上下、臂手孫絡之居也、浮而緩、不能句積而止之、故往來移行:邪気が孫絡に停留してから形成した積は、上下に往来できる。これは、孫絡が浅い部位にあり、しかも緩んでいて、積を固定できないから、積が往来移行できるわけである。『甲乙経・巻八・第二』によると、「臂手」は「擘乎」の誤り、「辟」と通じる。「句」とは「拘」であり、制限するという意味である。

②腸胃之間、水湊滲注灌、濯濯有音、有寒則 * *(月へんに真)滿雷引、故時切痛:腸胃の間に、水が滲出されたら、「濯(たく)濯」という音を発し、寒があれば、腹脹腸鳴がして、腸が牽引されるから、時々激痛する。「* *(月へんに真)滿」について、『甲乙経・巻八・第二』は「腹*(月へんに真)滿」の誤りで、腹部の脹満という意味と注釈している。「雷」は腸鳴、「引」は収引で、「切痛」は激痛である。

③其著於陽明之経、則挾臍而居、飽食則益大、飢則益小:邪気が陽明経に停留してから形成した積は、臍の両側に定着し、満腹の時に大きくなり、空腹の時に小さくなる。

④其著於緩筋也、似陽明之積、飽食則痛、飢則安:緩筋に形成した積は、その形態と表現は陽明経の積に似ていて、満腹の時に痛くなり、空腹の時は痛くない。「緩筋」は筋肉の間にあるため、満腹の時圧迫されるから、痛くなる。

⑤其著於腸胃之募原也、痛而外連於緩筋、飽食則安、飢則痛:腸胃の募原に形成した積は、疼痛の時に外側の緩筋に繋ぐため、満腹の時は痛くないが、空腹の時に痛くなる。

⑥其著於伏衝之脈者、揣之應手而動、発手則熱気下於両股、如湯沃之状:伏衝の脈に停留形成した積は、手で当てると搏動を感じる、手を離すと熱い気流が両太股の間まで下行し、熱湯に浴びられたように感じる。

⑦其著於膂筋、在腸後者、飢則積見、飽則積不見、按之不得:膂筋に形成した積は、胃腸の後方にあり、空腹時に積の形が見える、満腹の時は見えないし、手で触っても積を感じない。

⑧其著於輸之脈者、閉塞不通、津液不下、孔竅乾壅:輸脈に形成した積は、脈道の中を塞ぎ、津液が上下流動できず、毛孔が乾渋で壅塞される。

⑨此邪気之從外入内、從上下也:これらは、邪気が外部より侵入してから内部まで入り、身体の上部から下部まで伝変する臨床表現である。

【説明】本節は、多種の積証の病機と病証を紹介し、中医の弁証論治に根拠を提供している。

邪気がいろんな部位に停留することによって、各種の積証が形成すし、その臨床表現は異なる。これらを弁別できれば、適切な治療方法を採用できる。例えば、活血化瘀、理気化痰、温中散寒などである。

なお、『内経』の中に「積」を論述した篇が多くあり、例えば、『素問・五蔵生成篇』、『平人気象論』、『腹中論』、『四時刺逆従論』、『奇病論』、『霊枢・水脹』、『刺節真邪』などがある。合わせて勉強することを薦めます。

(李)
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by jbucm | 2016-02-18 11:08 | 中医学 | Comments(0)