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先週は五行の病理関係である相乗と相侮を紹介しましたが、今回は五行に関するもう二つ病理関係を紹介します。それが相生関係の伝変で、母病及子(ぼびょうきゅうし、母病が子に及ぶ)と子病及母(しびょうきゅうぼ、子病が母に及ぶ)という二つです。

 * 母病及子(ぼびょうきゅうし):母病が子に及ぶというのは母になる臓器から子になる臓器に伝えるという具合のもので、例えば腎が水に属し、肝は木に属す。腎は母臓で肝は子臓、腎の病気が肝に伝わるというのは母病及子ということになる。臨床でよくみられる「肝腎(精血)不足」と「水不涵木(水が木を潤わない)」は母病及子という範囲に入る。それは、まず腎精不足することによって、肝臓に及び、肝の血液も不足して、「肝腎の精血が不足になる」という状態になってしまう。また、腎水が不足しているから肝木を滋養することができなく、肝腎が陰虚、肝陽が昂進、「水が木を潤わない」状態になる。

* 子病及母(しびょうきゅうぼ):子病が母に及ぶというのは子臓から母臓に伝えるという具合のもので、また「子盗母気」とも呼ばれている。例えば肝が木に属し、心は火に属し、木から火を生じる。肝は母臓、心は子臓になる。心の病は肝に及ぶと、すなわち子病及母という。臨床によくみられる心肝の血が虚と心肝の火が盛んという症状は皆子病及母という範囲に入る。それは、まず心血の不足によって肝臓及び、肝の血も不足になり、心肝の血が虚になる。また心の火が盛んになり、肝臓に及び肝の火を扇動し、心肝の火が盛んという状態になってしまう。

ここで、指摘しなければいけないのは、五臓の関係はお互い影響し合い、作用し合い、一つ病気になれば外にも影響するということであり、事実上完全に五行学説で説明することはできない。疾病の場合、邪気の性質の違いや、患者の状況、疾病の発展法則の差によって、五臓の伝変も必ずしも完全に生克乗侮の法則には従わない。

(李)
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by jbucm | 2009-10-29 09:56 | 中医学 | Comments(0)

食卓から生み出す哲学


こんにちは、周です。今回は料理の話です。

中国人の人生観は、料理や食生活を抜きにして語ることはできません。それは中国語にも体現されています。中国人の「こんにちは」は、「吃飯了麼?(お食事はまだですか)」でもあります。

「大吃大喝(大いに食べ、大いに飲む)」の宴会では、料理の骨や落花生の殻などが、テーブルから床まで散らかります(都会のレストランでは、衛生面は良く改善され、今はこの風景があまり見られません)。中国人の食事は、皆と楽しみ、友情を育む役目を果たすものです。家族の団欒はもちろん、商いの交渉も、政治の話し合い、恋人同士のデートにも、一切は食事の準備ができてからです。

中国料理の味は、地方によって違います。北京料理はこってりした油っこい、四川料理は唐辛子を沢山使う辛い、上海料理は醤油を使うので、日本と似ている、広東料理はさっぱりする味です。味つけだけではなく、料理の材料も個性的です。日本でも、よく知られている魚鰭(フカヒレ)や燕窩(ツバメの巣)、猪脳・魚頭(豚や魚の脳みそ)が健康食の材料の代表であります。ちなみに、日本で入手しやすい魚頭を使って作るスープは、私の大好物です、安くて、しかも営養満点で、作り方も簡単です。今度紹介します。

中薬(漢方薬)がそうであるように、料理法も天然の材料を十分に使いこなすことにコツがあります。f0138875_14173390.jpg「脳花湯(豚の脳スープ)」「焼麻雀(雀の丸焼き)」「焼乳鳩(若鳩の丸焼き)」「焼乳猪(子豚の丸焼き)」「豆腐魚頭湯(豆腐と魚の頭スープ)」と呼ばれ、昔から家庭料理として作られています。

薬補不如食補、千補万補不如食補(薬をあびるほどに飲んだとしても、良い食事に及ばない)というこの諺が、まさに中国人の「料理哲学」を示すであります。中国と中国人をよく理解しようと思ったら、まず食卓を囲む、食事をすることから始めたほうが良いかもしれません。
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by jbucm | 2009-10-26 09:30 | 中国の薬膳 | Comments(0)

五行の相乗・相侮とは、五行の相克状態に異常が発生した時の現象で、病理関係である。

 * 相乗(そうじょう):乗とは強いものが弱いものを凌ぐの意味で、五行の一行はもう一行に制約しすぎて、一連の異常相克反応が発生する。

相乗の原因は二つある。一つは、五行の一行は自身が強すぎ、制約する行に制約しすぎることによって、異常になる。例えば、木が強すぎ、土を制約しすぎるから、土が不足となる。これは、「木乗土」と呼ばれる。

 もう一つは、五行の一行は弱すぎ、この行を克する行が相対的に強くなり、この行を制約しすぎることである。例えば、木がそんなに強くなく、土に対する制約力も正常範囲にあるが、土自身の不足によって木克土は相対的に増強され、土がさらに不足する。これは、「土虚木乗」と呼ばれる。

 * 相侮(そうぶ):侮とは虐め侮るの意味で、相侮は相克の順序と逆向きである。つまり、五行の中、ある行は強すぎで、この行を克する行を逆に克することである。例えば木は金に克されるが、木が強くなると、逆に金を克することになってしまう。「木侮金」と呼んでいる。「反侮」或は「反克」とも呼ばれる。もう一方、金自身が弱すぎで木を克することができなくて木に克される場合もある。「金虚木侮」と呼んでいる。

 相乗と相侮は共に不正常な相克現象である。両者は次のような関係している:相乗が発生する時に相侮も発生しうる。相侮が発生する時に相乗も発生しうる。例えば、木が強すぎる時土を乗することもできるし、金を侮することもできる。また、金が弱い時は木の反侮を受けることもあれば、火に乗されることもある。

(李)
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by jbucm | 2009-10-22 09:26 | 中医学 | Comments(0)

秋季のスープーその⑤

こんにちは、周です。今回は秋季のスープーその⑤を紹介します。

⑤玉竹痩肉湯(玉竹と豚肉のスープ)

功効:潤肺止咳
材料:北沙参30g、玉竹30g、百合30g、豚肉ブロッグ500g、蜜棗10個
調味料:塩適量
作り方:
①豚肉は大きめのサイズに切り、湯通をして、水できれいに洗い流す。蜜棗を水で洗い。
②北沙参・玉竹・百合を水で洗い、1時間位水に浸けておく。
③鍋に2000cc水を入れ、沸騰させた後、上記材料を加え、武火(強火)で沸騰させた後、文火(弱火)3時間煮る
④塩で味を調える

このスープは秋燥、肺燥、糖尿病の補助治療、陰虚による咳嗽、痰少、口乾舌燥に用いられます。

注意事項:寒涼性ですので、肺虚、寒咳の者には要注意です。

北沙参の薬膳作用を紹介します。
性味帰経:甘、微寒。帰肺・胃経
効能:清肺養陰 益胃生津
主治:肺陰虚による燥熱咳嗽。咳嗽痰少、或いは吐きにくく粘り濃い痰、熱病の後の気津不足による咽乾、舌紅少津。
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by jbucm | 2009-10-19 09:38 | 中医薬膳専科 | Comments(0)

五行の相生・相克法則について

 五行学説は静止的、孤立的に事物を五行に帰属させるのではなく、五行の間にある相生・相克の関係から事物の関係、協調的平衡の整体性と統一性を探索、解明すること、また、五行の間の相乗・相侮を以て事物の協調平衡が破壊された後の互いの影響を探索、解明することにあり、それが五行の「生克乗侮(せいこくじょうぶ)」の本来の意義である。

* 相生(そうせい):相生とは一つの事物が別の事物に対する促進と資生の作用をいう。

* 相克(そうこく):相克とは一つの事物が別の事物に対する制約と抑制の作用をいう。

五行学説では、相生・相克は自然界の正常な現象だと考え、また人体に対しても正常な生理現象だと考えている。事物の間に相生相克の関係があるからこそ、自然界がバランスをとり、人体が生理平衡を保っている。故に「制あり生長あり」といっている。

* 制化(せいか):制とは克制で、制約のことである。化とは化生で、生長のことである。制化とは、生克の相互配合することを言う。意味は、事物では生の中に克があり、克の中に生もある。だから、相対的な平衡を維持できる。例えば、木は土を克し、土は金を生む、また、金が木を克す。こういう調節があるこそ、木が土を克し過ぎないようになる。

(李)
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by jbucm | 2009-10-15 12:30 | 中医学 | Comments(0)

「六味地黄丸」の伝説


こんにちは、周です。今回は「六味地黄丸」の伝説の話です。

六味地黄丸は臨床常用されている方剤で、滋補肝腎の効能があり、出典は宋の時代・≪小児薬証直訣≫で、当時著名な小児科医者である銭乙が創った処方です。1079年、「土郎中」(田舎の医者)の息子である、40代の銭乙は皇太子の病を治し、皇帝に褒められましたが、太医らに嫉妬されました。f0138875_1532929.jpg

ある日、銭乙は弟子と一緒に患者を診察した際、ひとりの太医は銭乙が処方した処方箋を持ち、銭乙に質問しました。太医は嘲笑な口調で、「銭太医、張仲景の≪金匱要略≫に記載されている八味丸は、地黄・山茱萸・山薬・沢瀉・茯苓・牡丹皮・附子・肉桂がありますが、この処方には、2味の薬を欠けていたらしい、忘れたではないですよね」と言いました、銭乙は笑いながら、「忘れていませんよ。張仲景の八味丸は大人用です。小児の場合は、陽気足(陽気が十分である)、私はわざわざ益火作用ある附子・肉桂を除いて、六味丸を創りました。小児の過熱(陽気過剰)による鼻血が出ないようにしましたので、如何でしょう」と言いました。そうすると、質問した太医は慌てて「銭太医用薬霊活、酌情変通、佩服佩服(銭太医の薬の配伍には感心する)」と言いました。
弟子はその場で老師の言葉をメモって、のちに「六味地黄丸」を≪小児薬証直書≫に編入しました。

ちなみに、六味地黄丸を紹介します。
組成:地黄6.0;山茱萸・山薬・沢瀉・茯苓・牡丹皮各3.0
効用:滋補肝腎
主治:肝腎陰虚
方意:本方は、腎・肝・脾を併補し、補腎陰が主体になっています、地黄・山茱萸・山薬は「三補」であります。また、陰虚火旺に対して、滋陰を主とし清熱を補助にします、沢瀉・茯苓・牡丹皮は「三瀉」であります。「三補」「三瀉」の併用により、滋補して滋滞せず、降泄して傷正せず、滋補腎陰の効果を強めることができます。
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by jbucm | 2009-10-12 09:30 | 中医学 | Comments(0)

 *五行(ごぎょう): 五行とは木・火・土・金・水の五種類の物質の運動をいう(「五」は木・火・土・金・水の五種類の事物で、「行」は運動である)。中国古代の哲学理論の一つであり、古人が物質の属性及びその相互関係に対する認識である。中国古代の人々は長い生活や生産活動の中から、木・火・土・金・水はなくてはならない基本の物質であることを認識し、最初は「五材」と呼んでいた。

 中医学理論体系の形成過程において、五行学説の影響を深く受けており、陰陽学説と同じように、中医学独特の理論体系の一部分となり、歴史からみても、中医学の発展にも深く影響した。

 中医学の「五行学説」は、古代の素朴な唯物と自発弁証の思想と医学実践に結合した学説である。五行の属性で人体の臓腑器官の相互関係を結び付き、さらに、五臓を中心にして、相生・相克・相乗・相侮などの理論を用いて、一部分の生理現象及び病理変化を説明している。

 これは古代の人々がその生活と生産活動から木・火・土・金・水五種類の物質を素朴に認識しそれに抽象を加え、しだいに形成した概念である。この概念は色々な事物の五行属性について、互いの相互関係について分析する基本法則である。だから、五行の特性は木・火・土・金・水に基づきながら木・火・土・金・水の具体的な物質よりも高次の概念となり、もっと広い意味を持っている。

 五行学説は五行の特性に基づいて、事物を分類しているが、事物の五行属性と木・火・土・金・水は完全に等しいのではなく、事物の性質と作用を五行の特性に照らしながら、事物の属性を決めるわけである。例えば事物の性質が木の特性と類似してると、木行に帰属させる。火の特性に類似してるならば、火行に帰属させる。

 例えば、方位からみると、日が東から出てくるのは、木の上昇、発展の特性に類似してるから、東は木行に帰属する。南方は炎熱のところなので火の特性に類似しているから、火行に帰属する。西は日の沈む所なので金の粛殺の特性に類似しているから、金行に帰属する。北方は寒く水の特性に類似しているから、水行に帰属する。

 次回は、五行の相生・相克・相乗・相侮について説明致します。

(李)
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by jbucm | 2009-10-08 10:26 | 中医学 | Comments(0)

秋季のスープーその④


こんにちは、今回は秋季のスープーその④を紹介します。

④甘蔗茅根痩肉湯(サトウキビと茅根の豚肉スープ)

功効:清熱生津、利尿解酒
材料:サトウキビ500g 白茅根30g 馬蹄(クロクワイ)100g 豚の赤身肉500g 蜜棗10個
調味料:塩適量
作り方:
①豚の赤身肉は食べやすいサイズに切り、湯通をして、水できれいに洗い流す
②サトウキビは水で洗い、5cm位長さに切る。馬蹄(クロクワイ)の皮を剥き(日本では生のクロクワイは売られてないかもしれないので、缶詰めのものでも良い)、蜜棗、茅根を水で洗い
③鍋に2000cc水を入れ、武火(強火)で沸騰させ、上記材料を入れ、再沸騰させた後文火(弱火)3時間煮る
④塩で味を調える

このスープは煙草を吸い過ぎ、お酒を飲み過ぎによる咽喉腫痛、口乾声嘶(口乾く、声のかすれ)、心煩口渇、尿黄、尿少の者に最適宜です。

注意事項:脾胃虚弱のものは要注意です。

甘蔗の薬膳作用を紹介します。f0138875_15104952.jpg
性味帰経:甘、寒。帰肺・脾・胃経
効能:清熱生津、潤燥下気、解毒
主治:肺熱による咽喉腫痛、口乾、煩渇、喀血。胃熱津傷、口渇、大便燥結。傷暑による心煩口渇、酒(アルコール)の中毒。

ちなみに、私の故郷(広州)では、サトウキビを搾蔗機(ジューサー)で搾り取った汁を飲む習慣があります。詳しくは2007年5月24日のブログをご参照ください。

(周)
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by jbucm | 2009-10-05 09:30 | 中医薬膳専科 | Comments(0)

すっぽん鍋


こんにちは、李です。今日は、初めて自分の料理を紹介致しますので、どきどきしています。

私は毎日、仕事を終えたら、帰宅の電車中で、今日の夕飯は何にするかな~と考えています。それから買い物をします。さすか主婦に変身してしまいます。料理はあまり得意ではないが、一応家族の人には、美味しく食べてもらっています。

私の少ない得意な料理の中、すっぽん鍋はその一つです。毎年、深秋から真冬まで2-3回作るが、今年は新型インフルエンザの予防という意味で、早めに作りました。先週、休みの前の日、仕事の帰り、上野にあるアメ横商店街の地下食品売り場で大きなすっぽんを一匹買い、その場でさばいてもらいました。次の日、時間をかけて、すっぽん鍋を作りました。

すっぽんの肉は性平味甘で、滋陰補腎及び健脾の効用があります。現代営養学の観点では、ビタミンやアミノ酸、コラーゲンなどが大いに含まれ、人体の免疫機能を高める効果を期待できるばかりではなく、美容効果もあります。

すっぽんの料理方法はいろいろありますが、私は、いつもお鍋にします。味や、食べる人の体質に合わせて、色んな材料を入れられるからです。甲や骨も一緒に使うので、見た目はあまりきれいではないが、美味しいです。皆さん是非、チャレンジしてみて下さい。

今回、私が使った材料は下記です(6人前):
すっぽん    一匹(900g)
地鶏のもも肉  一枚(約200g) 
長芋      一本(約350g)
大棗      50g
枸杞子     約30g
生姜      約100g(多めが良い)
長ネギ     1本
生椎茸     6枚
サラダ油、料理酒、食塩 適量

作り方:
1、沸騰したお湯たっぷり、ぶつ切りとなったすっぽんにかけて、1分間程度つけてから、すっぽんの表面に覆っている薄い皮をキレイに剥す(焼けどに注意)、キレイに洗い、水切れする。

2、鶏のもも肉、長いも、長ネギ、椎茸をぶつ切り、生姜を薄切りにして置く。

3、中華鍋にサラダ油を多めに入れ、熱くなったら、生姜を入れて、2~3回炒め、すっぽんと鶏のもも肉を入れて、強火で炒める、血色がなくなったら、料理酒、食塩を適量入れて、香りが出るまで、続けて炒める。

4、香りが出たら、土鍋に移し、鍋一杯までたっぷりお水を加え、中火で水の量が2割程度減るまで煮込む(一時間程煮る必要なので、火の強さを調節する)。アクを取り、長芋、椎茸、大棗を入れる。沸騰したら、火を弱くして、さらに一時間程度煮込む(注:できるだけ蓋を閉め、弱火で時間をかけて煮るが、水の量があまり減らない方が良い。途中から水を加えないことが望ましい)。出来上がる前に、長ネギと枸杞子を入れて、2~3分後火を消す。

               煮込んでいるところです
                      ↓
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by jbucm | 2009-10-01 12:00 | 中国の家庭料理 | Comments(2)

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