国立北京中医薬大学日本校が運営するブログです

by jbucm

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2015年度の北京研修旅行

  10月19~24日、日本校の卒業生、在校生及び関係者の27名の方々が北京中医薬大学の研修旅行にご参加頂きました。

  参加された皆様の温かいご協力によって、無事に終了致しましたことを心から感謝申し上げます。

  短い旅とは言え、中医病院で本格的な体験をされて、充実な毎日を送ることが出来たことと思います。その様子を今回の研修旅行に参加されてない皆さんにもお届したいと思います。

  20、21日の終日、22日午前中は病院研修、又は薬膳の講義と実習を実施致しました。病院チームでは内科学(腎臓泌尿器系・脳神経系・心血管系・呼吸器系)の研修は病棟にて、婦人科及び針灸科は外来にて行いました。薬膳の講義では『中医食療と薬膳』、『よくある慢性病の食療要点』、『美容の食療法紹介』の講義と『養生膏方の制作と応用紹介』という調理実習を行いました。
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  22日の午後では北京本校の見学、そして、4時半より日本校中医中薬専攻科・2015年度の卒業式が北京中医薬大学の小ホールにて行いました。北京中医薬大学林 志華副学長、日本校の高 鶴亭学長、植松理事長に暖かい祝福のお言葉を頂きました。今年31名卒業生の中、8名の方が北京にて学長らより卒業証書を受け取りました。なお、山際 玲子さんが卒業生を代表して答辞を述べました。
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  以下は山際 玲子さんの御答辞です:

  本日は北京中医薬大学ならびに日本校教職員の皆様のご臨席の下、このように盛大な卒業式を催していただいたことに、卒業生一同心より御礼申し上げます。また只今(役職・お名前)様より告辞のお言葉を賜りましたことに、重ねて御礼申し上げます。

  振り返ると、中医中薬専攻科は3年間、中医薬膳専科、医学気功整体専科は1年間、それぞれ大学ですごした時間は長いようで瞬く間に過ぎて行きました。社会人としての生活がある中、勉学を進めることに、時に困難を感じることがあっても、諸先生方、通訳の先生方そして事務の方々のご指導や励ましを得て中医学という大いなる知恵を得ました。そして何より、かけがえのない多くの友人を得ることができました。お互いに励まし合い、切磋琢磨した日本校での日々は何よりの宝物です。

  本日私たちは卒業し、それぞれの道を歩き始めます。日本校での修了式の日、諸先生方から、卒業して初めて深く広い中医学の海に漕ぎ出すスタートラインに立ったのだという言葉を頂きました。日本においても、中医学が人々の心と体の健康に果たす役割はますます大きくなっていくものと感じております。北京中医薬大学日本校の卒業生として、得た知識・技術を深め、時には協力し合いながら、自身や、家族をはじめ多くの人々に健康と幸せを届けていくのが使命であると決意を新たにしました。

  最後になりましたが、諸先生方、職員の皆様、そして暖かく見守ってくれた家族、私たちを支え、導いて下さった全ての方に卒業生を代表して、心より御礼申し上げます。そして、皆様方のご健康と北京中医薬大学の更なる発展を願い、答辞と致します。


  なお、今回参加者された卒業生の大田さんに感謝の言葉を頂きましたので、下記に載せさせて頂きます:

  先週は北京中医薬大学の研修旅行で大変お世話になりました。想像以上に充実していた研修でした。もっと早くに参加したかった、と心より思います。

  現場の治療に触れ、日本の学校で学習した中医学理論が立体的に感じました。ものすごい数の患者さんを、精力的に診ていた医師のみなさん。

  コンピューターで薬は管理しながらも、脈を取り、舌を見て、主訴に耳を傾け、薬を加減しとても人間的に診療していた場面は忘れられません。

  同時に、同じ生薬でも、婦人科と内科では使い方が違っていて、まだまだ奧が深く、学び続けたい中医学を感じ取りました。通訳してくださった先生方の上手な日本語にも驚きました。

  お食事も、北京の魅力伝わるおいしいものばかり。バリエーションが考えられていて、とても新鮮でした。

  たくさんの知識の収穫とともに、全員が無事に帰れたのは、李先生と周先生のご尽力のたまものです。植松理事長のさりげない心遣いと優しさも滲みました。

  鈴木さんと、来年は薬膳コースに参加したいねと、言っております。

  来年は9月の前半ですよね。詳しく旅行スケジュールは出たら、お知らせくださいますよう。仕事調整して、ぜったい参加しますから。

  色々お世話になりまして、本当にありがとうございました。


  今回の研修旅行は、北京本校の学長をはじめ外事処の先生方、東直門病院の先生方、及び通訳の方のご支援と細かいご配慮によって実現されたことを心から感謝いたします。
  
  今回もご参加の皆様に研修レポートや旅の思い出などを募集しておりますので、是非お寄せ下さいませ。学校のHPに掲載し、ご自分の体験などを多くの方に、研修の感動を与えていただきたいと思います。なお、皆様も研修や観光の写真を是非E-mailで学校へ(info@jbucm.com)ご送信下されば、幸いです。学校が研修レポート、研修及び卒業式の写真を集め、改めて皆様にお届け致します。研修の成果を皆で分かち合いましょう。

(李・周)


 
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by jbucm | 2015-10-29 10:30 | 学校行事・お知らせ | Comments(0)

皇甫謐

こんにちは、周です。今回は医家・皇甫謐の紹介です。

中国に現存する・最も古い針灸学専門書である《針灸甲乙経》の著者として知られる皇甫謐(215~282年)は、幼名を静、字を土安と称し、自ら玄妟先生と号しました。安定朝那(甘粛省霊台)の人ですが、後に叔父の養子になって新安(河南省澠池県東)に移りました。東漢の名門豪族で、曾祖父の輩などは朝廷の大尉(官職)でありますが、没落して家は貧しく、少年時代の彼は全く学問を好まなかったです。しかし、叔母の懇ろに教さとしもあって、20歳を過ぎてから発憤図強(意気込んで努力しようと決心する)、一転して寝食を忘れて読書に励む毎日となりました。村人は、このような皇甫謐の姿を見て、「書淫」と称しました。
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皇甫謐は、晋代朝廷に官吏として奉仕することを好まず、度重なる征召(官職を授ける)を固く断りました。皇帝に上書して、医学の重要性を指摘し、自分は万難を排除して医学を修める決意であることを述べました。皇帝のところから沢山の医書を借り、学問を研鑽して有名な学者になりました。

皇甫謐の性格は沈静寡欲(沈静して欲が少ない)で、読書する毎日でした。もともと身体があまり丈夫でなかった上に、疲労を蓄積させ、42歳に風痺(痺証の一種、リウマチ様な遊走性関節痛)を患い、半身不随となりましたが、医学を修する志向は衰えず、《素問》《針経》《難経》《明堂穴針灸治要》(すでに散逸して伝えられてない)を閲読し、それらを基礎とし、張仲景や王叔和など医家の経験を参考し、259年に《針灸甲乙経》を書き上げました。

《針灸甲乙経》は、理論的に整備された医学書であり、内容も実用性がありますので、針灸学の経典文献の一つとして、今まで中国針灸医学史上、重要な位置を占めています。また、海外(日本、朝鮮)にも針灸学の教材として使われます。
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by jbucm | 2015-10-26 09:30 | 中医学 | Comments(0)

27年10月生(新入生)

去る10月17日(土)に北京中医薬大学日本校も27年10月生(新入生)を迎えました。

今期は、中医中薬専攻科(18名)を始め医学気功整体専科(3名)、中医薬膳専科(41名)各専科の新入生を迎えることができました。日本にある数の中国中医薬大学の中、当校を選んでいただき、有難うございました。
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これから3年間または1年間、宜しくお願いいたします。全力応援しておりますので、一緒に頑張りましょう。
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by jbucm | 2015-10-19 09:30 | 学校行事・お知らせ | Comments(0)
霊枢・五変第四十六④

【原文】黄帝曰:人之善病風厥漉汗者、何以候之①?少兪答曰:肉不堅、腠理疏則善病風②。黄帝曰:何以候肉之不堅也?少兪答曰:膕肉不堅而無分理。理者粗理、粗理而皮不緻者、腠理疏③。此言其渾然者④。

黄帝曰:人之善病消癉者、何以候之?少兪答曰:五藏皆柔弱者、善病消癉⑤。黄帝曰:何以知五藏之柔弱也?少兪答曰:夫柔弱者、必有剛強、剛強多怒、柔者易傷也⑥。黄帝曰:何以候柔弱之與剛強?少兪答曰:此人薄皮膚、而目堅固以深者、長衝直揚、其心剛、剛則多怒、怒則気上逆⑦。胸中畜積、血気逆留、臗皮充肌、血脉不行、轉而為熱、熱則消肌膚、故為消癉⑧。此言其人暴剛而肌肉弱者也⑨。

【注釈】①人之善病風厥漉汗者、何以候之:有る人は風気厥逆に患いやすく、びっしょりと汗をかく。どうやって診察するか?「風厥(ふうけつ)」とは、汗が止まらない病証であり、『霊枢集注・巻六』にはこう解釈している:「これは、皮膚腠理の間に津液が充満していて、皮膚が不緻密、肌肉腠理が粗鬆となると、津液が外泄し、汗となる」。

②肉不堅、腠理疏則善病風:凡そ肌肉が弱く、腠理が粗鬆する者には、風邪が侵入し易く、よく病気になる。

③膕肉不堅而無分理。理者粗理、粗理而皮不緻者、腠理疏。凡そ膕部の肌肉(ふくらはぎ)が丈夫でなく分理(きめ)がないもの、或は分理(きめ)が粗く皮膚が緻密でないものは、その腠理が粗鬆である。

④此言其渾然者:これは、その肌肉の分別がない人を言う。

⑤五藏皆柔弱者、善病消癉:五臓ともに弱いものは、消癉に罹りやすい。

⑥夫柔弱者、必有剛強、剛強多怒、柔者易傷也:凡そ五臓ともに弱いものは、気性が強い、気性の強いものはよく怒る、五臓が弱いものは損傷されやすい。「夫柔弱者、必有剛強」について『霊枢集注・巻六』には、「形質が弱いものの気性が強いである」と注釈している。

⑦此人薄皮膚、而目堅固以深者、長衝直揚、其心剛、剛則多怒、怒則気上逆:こういう人には皮膚が薄い、その眼光は堅くて深い、眉が逆立ちしている、気性が強くよく怒る。よって、気逆が起きる。『甲乙経・巻十一・第六』よると、「衝」は「衡」の誤りで、「衡」は眉上である。

⑧胸中畜積、血気逆留、臗皮充肌、血脉不行、轉而為熱、熱則消肌膚、故為消癉:(上逆した気が)胸中に蓄積し、気血が瘀阻して、肌肉と皮膚に充満し、血行不利となり化熱する。熱が肌肉と皮膚を焼き、消癉となる。「臗」は「寛」であり、詰め込むという意味である。『内経』に消渇に関して、数篇に渡って記載している、その証候は複雑で、分類も多いである。病名について、本篇の「消癉」の他に、消渇、消中、風消、鬲消、肺消など数多くある。病因病機については、二つあり、その一は肥甘厚味の蘊結で化熱する(『素問・奇病論』)、その二は五志過極の鬱結で化火する(本篇)。

⑨此言其人暴剛而肌肉弱者也:これは気性が暴れ、肌肉が弱い人のことを言う。


(次回へ続く)

(李)
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by jbucm | 2015-10-15 10:10 | 中医学 | Comments(0)

中薬対聯

こんにちは、周です。今回は中薬対聯で婿を選ぶ逸話です。

昔、ある薬店の老板(経営者)は「対聯」が好きで、自ら「上聯」を出し、「下聯」が書ける男性を婿にする、と優雅の話がありました。
(対聯については、2008年12月28日のブログ記事をご参照ください)

老板:煩暑最宜淡竹葉
男性:傷寒尤妙小柴胡

老板:玉葉金花一条根
男性:冬虫夏草九重皮

老板:白頭翁牽牛耕熟地
男性:天仙子相思配紅娘

老板:白頭翁、持大戟、跨海馬、与木賊草冦戦百合、旋覆回朝、不愧将軍国老
男性:紅娘子、挿玉簪、戴銀花、比牡丹芍薬勝五倍、蓯蓉出閣、宛如云母天仙
附:「上聯」「下聯」に、それぞれ9味中薬を含みます。
「上聯」:白頭翁、大戟、海馬、木賊、草冦、百合、旋覆花、将軍(大黄)、国老(甘草)
「下聯」:紅娘子、玉簪花、銀花、牡丹、芍薬、五倍子、蓯蓉(肉蓯蓉)、云母、天仙子

娘と男性を成婚する日、父は娘を送り出し時も、やはり「対聯」で言葉を交わしました。
父:放心去吧、不論生地、熟地、姻縁到処是親人
娘:女児知道!但聞藿香、木香、春風来時尽着花

中国語ができる方には、中国語を十分に堪能したでしょうか
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by jbucm | 2015-10-12 09:30 | Comments(0)
  2015年のノーベル医学生理学賞は、日本北里大特別栄誉教授の大村智氏、アイルランド出身で米ドリュー大名誉研究フェローのウィリアム・キャンベル氏とともに、中国中医科学院の屠呦呦(トゥ・ヨウヨウ)氏など3人が授与されました。

  屠氏は青蒿の同属である黄花蒿という薬草からマラリア特効薬アルテミシニンの成分の抽出に成功したほか、長年にわたり中国の伝統医学である「中医学」と西洋医学の融合に関する研究を行っています。中医学の治療薬の主な原料となるのは生薬です。1970年代に屠氏がリーダーである研究チームが黄花蒿からマラリア治療の特効薬となるアルテミシニンという成分の抽出に成功し、それからは世界中(特にアフリカ)でマラリアの治療に使用され、治療効果がかなり高く評価されています。

  中国の伝統医学も西洋医学も万能ではないが、両者を相互に補い合うべきです。中医学は病因を根本から治すものです。多くの疾病を速やかに治すのは西洋医学ですが、西洋医学でまだ治せない雑病の症状の改善には中医学が優れるところがあります。両者の長所を利用できたら、人類にとっては幸福なこととなります。

  現在、中国も日本も、屠氏のように中医学を科学的な側面からの研究を進めています。これからは、さらなる発展に期待しております。

(李)
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by jbucm | 2015-10-08 11:25 | Comments(0)

諸葛亮と行軍散

こんにちは、周です。今回は諸葛亮と行軍散の話です。

行軍散は、牛黄・珍珠粉・麝香・氷片・雄黄・硼砂(炒)・姜粉・硝石(精製)などから組成されます。中暑昏暈・腹痛吐瀉・熱証煩悶などの症に用いられ、用量が少なく(0.3~0.5g)、内服・外用どちらもできて、しかも薬効がよいです。この薬は約1700年前から大衆薬として使われ、今も愛用されています。
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諸葛亮と行軍散の関わりを紹介します。
三国時期、蜀国の政治家・軍事家である諸葛亮が蜀の大軍を率いて威風堂々と魏国へ行進し、魏軍と開戦しようとしています。当時の気候は炎熱酷暑(厳しい暑さ)であり、その上に長期間の行軍で、暑病を発病しました。多くの将士(将校と兵士の総称)は倒れ、戦闘力が低下しました。
諸葛亮は、その事を苦悩しました。いろいろと智慧をしぼって考えましたー中暑を予防や治療する方薬を創製する?すると、随営医生(従軍軍医)らの力を合わせて携帯便利、内服・外用の両用することができる・消暑解毒という作用がある「諸葛亮行軍散」(行軍散ともいう)を創りました。
この行軍散を服用した蜀の兵士達が暑病を治癒して元気になり、闘志を燃やし、魏軍を進攻して勝利を収めました。
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by jbucm | 2015-10-05 09:30 | 中医学 | Comments(0)
霊枢・五変第四十六③

【原文】黄帝曰:一時遇風、同時得病、其病各異①、願聞其故。少兪曰:善乎哉問!請論以比匠人。匠人磨斧斤、砺刀削、斫材木。木之陰陽、尚有堅脆、堅者不入、脆者皮弛、至其交節、而缺斤斧焉②。夫一木之中、堅脆不同、堅者則剛、脆者易傷、况其材木之不同、皮之厚薄、汁之多少、而各異耶③!夫木之蚤花、先生葉者、遇春霜烈風、則花落而葉萎④;久曝大旱、則脆木薄皮者、枝條汁少而葉萎⑤;久陰淫雨、則薄皮多汁者、皮潰而漉⑥;卒風暴起、則剛脆之木、枝折杌傷⑦;秋霜疾風、則剛脆之木、根搖而葉落⑧。凡此五者、各有所傷、况於人乎⑨?
黄帝曰:以人應木、奈何⑩?少兪答曰:木之所傷也、皆傷其枝、枝之剛脆而堅、未成傷也⑪。人之有常病也、亦因其骨節皮膚腠理之不堅固者、邪之所舍也、故常為病也⑫。

【注釈】①一時遇風、同時得病、其病各異:一緒に邪気を感受し、同時に病気にかかるが、違う病証になる。

②請論以比匠人。匠人磨斧斤、砺刀削、斫材木。木之陰陽、尚有堅脆、堅者不入、脆者皮弛、至其交節、而缺斤斧焉:職人が伐採することにたとえてみる。職人が斧や刀を磨くのは、木材を伐採するためである。木の陰面と陽面は堅さに違いがあり、堅いほうが伐りにくい、脆いほうが外側の皮が緩んでいるから伐りやすい。ふしの部分に当たると、斧や刀が破損し欠けてしまうこともある。「斧斤」は斧で、「刀削」は刀である。斫(しゃく)は伐るという意味である。

③夫一木之中、堅脆不同、堅者則剛、脆者易傷、况其材木之不同、皮之厚薄、汁之多少、而各異耶:同じ木材にも堅さが違う。堅いほうが強い、脆いほうが傷つけやすい。違う種類の木材においては、皮の厚さや、汁の多さなどの違いによって性質も異なる。 

④夫木之蚤花、先生葉者、遇春霜烈風、則花落而葉萎:凡そ花が早く咲き、葉が先に生長するものは、春の露や強い風に遭遇すると花が落ち、葉が枯れる。「蚤」は「早」である。

⑤久曝大旱、則脆木薄皮者、枝條汁少而葉萎:長期間の熱日と大干ばつに遭遇すると、脆く皮が薄い樹木は、枝に汁が少なく葉が枯れる。

⑥久陰淫雨、則薄皮多汁者、皮潰而漉:長雨が続くと、皮が薄く汁が多い樹木は、皮が潰爛し水が滲みる。

⑦卒風暴起、則剛脆之木、枝折杌傷:突然の暴風が起きるとき、強靭な樹木には枝が折れ、損傷される。「杌(う)傷」について、『類経・疾病類・七十六』には「枝がない木である」と記載している。

⑧秋霜疾風、則剛脆之木、根搖而葉落:秋霜と猛烈な風に遭遇するとき、強靭な樹木では根元が揺れて、葉は落ちる。

⑨凡此五者、各有所傷、况於人乎:凡そこの五つ異なる情況があって、それぞれ損傷の原因と程度が違う。人においてなおさら違う症状が出る。

⑩以人應木、奈何:人を樹木の相応変化に喩えると、どうなるか?

⑪木之所傷也、皆傷其枝、枝之剛脆而堅、未成傷也:樹木の損傷は、皆枝から損傷される。樹木の枝が強靭で堅固のものは損傷されない。

⑫人之有常病也、亦因其骨節皮膚腠理之不堅固者、邪之所舍也、故常為病也:人体に病を患うのも、骨節や皮膚腠理が堅固でないもので、邪気が侵入し停留するためである。故に病気になり易い。

【説明】本節は、木の品質によって損傷される程度が違うことを喩えにし、人も体質の差別があって病気に罹りやすいほうと罹りにくいほうがあり、なお、病気に罹っても病変の差違があることを説明している。

『内経』には、「体質」という言葉が出てないが、体質に関する論述は多く出ている。下記のように纏めておく:

①五行の類別で体質を論じる:『霊枢・陰陽二十五人』に、陰陽五行学説の理論に基づいて、皮膚の色・形体・声・性格などと時令との関係を論じ、人の体質を25種類に分類している。

②陰陽の偏りで体質を論じる:『霊枢・通天』に、陰陽の偏りの程度を意識・性格・容貌などに合わせて、人体の体質を太陰・少陰・太陽・少陽及び陰陽平和という五種類に分別している。

③五体の差違で体質を論じる:『霊枢・衛気失常』に、皮・肉・膏・脂の違いで、体質を膏・肉・脂三種類に分別している;なお、『霊枢・論勇』には、皮膚の厚薄・肌肉の堅脆緩急・色沢などの違いで体質を勇・怯・忍痛・不忍痛など四種類に分別している。

本篇も人の皮膚・肌肉・腠理・骨節などの違いで体質と疾病の関係を論述している。


(李)
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by jbucm | 2015-10-01 10:10 | 中医学 | Comments(0)