こんにちは、周です。今回は中国生薬収集事情の話です。
中国には昔から生薬の主要収集地が2ヵ所あります。一つは河北省安国で、春と秋に開かれ、もう一つは遼寧省営口で、毎年の冬に朝鮮人参や鹿茸の市が開かれています。この2つの市は、どちらも同仁堂の掌柜(店のご主人)が到着してから取引が始まり、同仁堂は品質によって価格を決め、最高品質の生薬は同仁堂が高価格で買います。朝鮮人参は栽培されたものと、野生のものに分けられ、産地によっても異なりますが、同仁堂の掌柜は見分けることができます(野生の種苗を人工栽培されたものも、見分けられます)。同仁堂は生薬を買い入れると、荷馬車の上に載せ、皇帝専用の黄色旗を差し、役人と兵隊に護送されながら運びました。また、同仁堂は生薬以外に、薬の調合もしました。例えば、皇后・妃専用の「烏鶏白鳳丸」があります。
中国河北省安国市のHP、薬材市場についてのご紹介です、ご参考下さい。
http://www.anguo.gov.cn/typenews.asp?id=69
ちなみに、「烏鶏白鳳丸」を紹介します。
この薬の処方は唐代の白鳳丹によって、不示外人的転家宝(門外不出)です。これは婦人のあらゆる病気を治す妙薬です(とくに女性の生理痛や生理不順に使われることが多く、その効果は絶大です。または体質改善にも効きます)。原料は滋養強壮効果がよく知られている烏骨鶏を主成分と、朝鮮人参、黄耆、当帰、鹿角胶、牡蠣、熟地黄、香附子です。その烏骨鶏は江西省の山地が原産で、毛は白く、耳は青く、とさかは赤く、頭のてっぺんには丸くて、白い毛があるが、皮と骨と肉は、炭のように真っ黒いため、烏骨白鳳鶏とも呼ばれています。出来上がった薬は金箔に包まれ、ロウで密封されるので、百年も変質せずに保存できたそうです。同仁堂は、店の裏に工場をもっていました。生薬を他人の手に渡さずに自分で調合し、秘方も他人に漏らさない為でした。