* 陰陽対立(いんようたいりつ)と陰陽制約(いんようせいやく): 陰陽学説では自然界のあらゆる事物と現象には対立する陰陽両面が存在していると考える。例えば上と下、左と右、天と地、動と静、出と入、昇と降である。陰陽の対立は主にお互いの制限と消長にあり、その結果は統一されて、動的な平衡が保たれる。これは
「陰平陽秘(いんへいようひ)」と呼ばれている(陰気が平順で、陽気が固守のことである)。春夏秋冬は温・熱・涼・寒の気候変化があり、春夏が暖かいのは陽気が上昇し陰気を抑えたからで、秋冬が寒いのは陰気が上昇し、陽気を抑えたからである。これは自然界の陰陽の互いに制約、消長した結果である。
病理上では、身体の陰陽が互いに制約し過ぎると、陰陽のバランスが取れなくなる。次の二つパターンはその例である。
* 陰勝則陽病(いんしょうそくようびょう):陰盛則陽病(いんせいそくようびょう)とも言う、陰勝れば則ち陽病。「陰」は陰寒、「陽」は陽気で、「勝(盛)」とは偏盛の意味である。寒気が盛んになると、陽気の活動を拘束し、又は、臓腑の陽気を損傷して、陽気虚弱になる。即ち、陽病になる。
* 陽勝則陰病(ようしょうそくいんびょう):陽盛則陰病(ようせいそくいんびょう)とも言う、陽勝れば則ち陰病。陽熱が盛んになると、体液を消耗し、陰液不足なる。即ち、陰病になる。
(李)