* 陰陽互根(いんようごこん)と
陰陽互用(いんようごよう): 陰陽は対立しているが、またお互いに依存している。一方だけ単独に存在することはできない。例えば上が陽となり、下が陰になり、上がなければ下もなくなり、下がなければ上もなくなる。『医貫砭・陰陽論』では「陰陽は各々を互いに根と為す、陽は陰に根ざし、陰は陽に根ざす。陽がなければ陰が存在しない、陰がなければ陽もない」と言っている。陰陽のこのような依存を陰陽互根という。物質と機能の間の依存関係をみると、物質は陰に属し、機能は陽に属し、機能は物質運動の結果である。世界では運動しない物質は存在しないし、物質のない機能も存在しない。両者は同様に互根作用がある。陰陽の依存は物質の依存関係に現れるだけではなく、例えば人体と生命活動を維持する基本物質である気と血の関係と取り上げてみても、気は陽に属し、血は陰に属し、気は血の主で、血は気の従であり、両者は依存している。
陰陽の依存関係はまた陰陽転化の根拠である。もし陰と陽の依存関係が存在しないならば、陰と陽は同じ統一体の中にないということになり、互いに転化の関係もありえない。
下記は陰陽互根互用関係を説明する例である:
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陽生陰長(ようせいいんちょう):陽気の生化が正常であれば、陰気が絶えずに滋生する。これが事物の生発する一面を説明している(例えば、春夏になると、陽気が盛んになり、植物なども生長の最盛期のなる)。また、
陰生於陽(いんせいおよう)という言い方もあり、陰気の生長は陽気の作用に依拠していることの示しである。
なお、同様に、
陽生於陰(ようせいおいん)ということもあり、人体のエネルギーを代表する陽気の発生は、物質を代表する陰精に依頼していることの示しである。
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陽殺陰蔵(ようさいいんぞう):陽生陰長の言葉と反対の意味をする。陽気が収束すれば、陰気も潜蔵する。これが事物の収蔵する一面を説明している(例えば、秋冬になると、陽気が潜伏し、植物などの生長も停滞する)。
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陰損及陽(いんそんきゅうよう)と
陽損及陰(ようそんきゅういん):損は虚損・虧損で、及は及ぼす・影響するという意味である。いずれも人体に生じる病理変化であり、陰或は陽の一方が一定程度に虚損すると、必ずもう一方も不足になる。具体的にいうと、「陰損及陽」とは、陰精の虚損が一定程度に達したら、陽気の化生不足が発生する。「陽損及陰」とは、陽気の虚損が一定程度に達したら、陰精の化生不足が発生する。
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陰中求陽(いんちゅうきゅうよう)と
陽中求陰(ようちゅうきゅういん):陽虚証及び陰虚証を治療する法則の一種である。陰陽互根互用(相互依存し、相互に用いられる)の原理から、陰陽偏衰の時に、例え症状からは一方の虚弱しか見えなくても、実は両方の損傷もあると考え、治療も両方を補うべきである。「陰中求陽」とは、補陽の時、適当な補陰薬を加えることである。「陽中求陰」とは、補陰の時、適当な補陽薬を加えることである。
(李)