こんにちは、周です。今回は「六味地黄丸」の伝説の話です。
六味地黄丸は臨床常用されている方剤で、滋補肝腎の効能があり、出典は宋の時代・≪小児薬証直訣≫で、当時著名な小児科医者である銭乙が創った処方です。1079年、「土郎中」(田舎の医者)の息子である、40代の銭乙は皇太子の病を治し、皇帝に褒められましたが、太医らに嫉妬されました。
ある日、銭乙は弟子と一緒に患者を診察した際、ひとりの太医は銭乙が処方した処方箋を持ち、銭乙に質問しました。太医は嘲笑な口調で、「銭太医、張仲景の≪金匱要略≫に記載されている八味丸は、地黄・山茱萸・山薬・沢瀉・茯苓・牡丹皮・附子・肉桂がありますが、この処方には、2味の薬を欠けていたらしい、忘れたではないですよね」と言いました、銭乙は笑いながら、「忘れていませんよ。張仲景の八味丸は大人用です。小児の場合は、陽気足(陽気が十分である)、私はわざわざ益火作用ある附子・肉桂を除いて、六味丸を創りました。小児の過熱(陽気過剰)による鼻血が出ないようにしましたので、如何でしょう」と言いました。そうすると、質問した太医は慌てて「銭太医用薬霊活、酌情変通、佩服佩服(銭太医の薬の配伍には感心する)」と言いました。
弟子はその場で老師の言葉をメモって、のちに「六味地黄丸」を≪小児薬証直書≫に編入しました。
ちなみに、六味地黄丸を紹介します。
組成:地黄6.0;山茱萸・山薬・沢瀉・茯苓・牡丹皮各3.0
効用:滋補肝腎
主治:肝腎陰虚
方意:本方は、腎・肝・脾を併補し、補腎陰が主体になっています、地黄・山茱萸・山薬は「三補」であります。また、陰虚火旺に対して、滋陰を主とし清熱を補助にします、沢瀉・茯苓・牡丹皮は「三瀉」であります。「三補」「三瀉」の併用により、滋補して滋滞せず、降泄して傷正せず、滋補腎陰の効果を強めることができます。