今回は、五行説にある治療に関する用語を紹介しましょう。
五行の病理関係から見れば、疾病の伝変はほとんど一つの臓器より、他の臓器に及ぼすので、治療の際、病の臓器を治療するだけでなく、五行の生克乗侮の法則によって、其の時の状況に応じて各臓器を調節しなければいけない。
* 虚則補其母、実則瀉其子(虚すれば其の母を補い、実すれば其の子を瀉す):それは、
相生法則により疾病を治療する時の基本原則です。「補母」(母を補う)と「瀉子」(子を瀉す)があります。
「補母」は主に母子関係の虚証に用いる。次はその例です:
* 滋水涵木法(じすいかんもくほう):腎水は母で肝木は子です。腎の陰が不足し、肝木を滋養することができなく、肝陰も不足する。これは「水不涵木(水が木を生じない)」といいます。その治療は直接肝を治療ではなく、腎の虚を補す。腎水から肝木を生じるからです。
* 培土生金法(ばいどせいきんほう):脾土は母で肺金は子です。肺気がある程度弱くなり、脾に影響を与えて脾も虚になる。脾土から肺金を生じるので、脾を補すことによって肺を補する治療方法を取ります。
「瀉子」は主に母子関係の実証に用いる。例えば、肝木は母であり心火は子でありあます。肝火が盛んになり、肝の実証が現れた時、このような肝の実証の治療は、心を瀉す方法を用います。心の火を瀉せば、肝の火を瀉することを助けることになります。
なお、
相克法則により疾病の治療方法もあります。次はその例です:
* 抑木扶土法(よくもくふどうほう):この方法は前々回紹介しました「木乗土」の証に用います。肝木が旺盛すぎ、或は脾土が虚した時に、肝気乗脾の証が現れます。この場合は、疏肝健脾して、肝気を抑え、脾の機能を整えます。
* 瀉南補北法(しゃなんほほくほう):この方法は腎陰不足で、心火が旺盛になる「心腎不交証(しんじんふこうしょう)」に用い、瀉火補水法(しゃかほすいほう)や滋陰降火法(じんいんこうかほう)とも言います。心は火に属し、方角は南で、腎は水に属し、方角は北ですから、瀉南補北法と名づけられました。
他にも色んな例がありますが、その原理が判っていれば、みな理解できると思います。
(李)