心血(しんけつ):人体の血液循環の主な内容物です。全身の各組織に営養を与え、心の神志活動にも基礎的な物質を提供するものです。故に心血虚になると、一般的な血虚の症状に加えて、心悸・健忘・不眠・多夢なども見られます。
心陰(しんいん):心臓の陰液で、営血の主な組成部分になります。その生理と病理は、心血と密接な関係があります。なお、肺陰、腎陰などの消長にも関連します。臨床では、多くの陰虚内熱の病証が心・肺・腎などの陰液虧損に関連します。
心腎相交(しんじんそうこう):心が上焦に位置し、火に属すことに対して、腎が下焦に位置し、水に属します。心陽が下降し、腎陽を温暖することがありますが、腎陰が上昇し、心陰を涵養します。正常な場合は、心火と腎水は相互昇降し協調しあい、相対的な平衡を保っています。これが「心腎相交」、又は「水火既済」の表現です。もし腎陰虧虚、或は心火熾盛になると、腎水と心火の間の平衡関係がなくなり、「相済」できなくなるので、心煩・怔忡不安・不眠などの症状が現れ、臨床では「心腎不交証(しんじんふこうしょう)」と呼びます。
受盛之官(じゅせいのかん):『素問・霊蘭秘典論』からの出典で、小腸のことです。小腸が胃から飲食物を受けるから、受盛之官と呼ばれています。
泌別清濁(ひっべつせいだく):小腸の機能です。小腸が胃から飲食物を受けたら、それを消化し、「清」(飲食精微、つまり、営養成分)を吸収し、脾に経由して全身へ運び出す;一方、「濁」(糟粕成分)を大腸又は膀胱へ注ぎ、大小便として体外へ排出します。この過程は、泌別清濁と称します。
(李)