先週の卒業式に、卒業生代表から素晴らしい≪答辞≫を頂きました。全文は以下の通りです:
猛暑と言われた夏が終わり、日増しに秋の気配を感じるようになりました。
本日は、お忙しい中、私たち卒業生のために、このような心温まる式典を挙行いただき、誠にありがとうございます。
思えば、3年前、本学への入学を許可され、自宅にテキストが送られてきました。テキストを開けると簡体字だらけ。中国語が分らない私は辞書を片手に意味をとろうと試みましたが、3行訳すのに1時間。入学前に早くも挫折してしまったのでした。3年間、やっていけるのだろうか?そんな不安でいっぱいになりました。
その不安が学ぶ楽しみに変わったのは、ひとえに金先生、韓先生の熱心なご指導と通訳の先生方の分りやすい説明があったためです。深く感謝いたしております。
金先生の講義で印象深かったのは、内科学の講義の中での先生のお言葉でした。症例を分析していたときのことです。私たちは、「正しい答え」を求めがちでした。それに対して先生は「答えを教えるのではなく、一緒に考えましょう。」とおっしゃって下さいました。何が正しいのか、ではなく、どう考え、分析していくのか、その方法を教えていただいたことは、これから卒業し、一人になった時、必ず私たちの力になるものと思います。また、最後の臨床講義では、中医学の理論が、実際の臨床に応用されている様子を知ることができました。この3年間に勉強したことがすべてつながっていくような、そんな感動がありました。
韓先生には中薬学・方剤学を教えていただきました。先生ご自身のご経験や逸話を混じった講義は大変興味深く、心に残っています。そのエピソードがあったからこそ、多くの中薬・方剤が印象に残り、覚えることができました。
この3年間でいただいた資料の厚みは、15cmほどにもなっていました。講義の外でも、先生方は私たちのために、貴重な時間を使い、この膨大な資料を準備してくださっていたのだと思い、改めて、感謝の気持ちでいっぱいになりました。ありがとうございました。
また、中医学に精通した通訳の先生方は、とても心強い存在でした。先生方の通訳なしには、中医学の耳慣れない用語や理解することはできませんでした。ありがとうございます。
加えて、3年間、働きながら学習を継続できましたのは、学ぶ環境を整えてくださいました、理事長をはじめ、事務局の職員の皆様のサポートがあったためです。本当にありがとうございました
大学の場は私にとって、単に中医学を学ぶというだけでなく、たくさんの出逢いの場となりました。ここで出逢った友人や先輩は私の人生の宝物です。ともに学んだ友人や先輩にも感謝の気持ちを伝えたいと思います。
この3年間で中医学のよさをたくさん知ることができました。中でも、「養生」という考え方、「未病を治す」という方法は、これから超高齢化社会を迎える日本にとって、とても重要になるのではないでしょうか?私たちは、今日で卒業致しますが、3年という短い期間では中医学のほんの入り口に立ったに過ぎないと感じています。ここで学んだ知識を実践に生かすべく、これからも奥深い中医学の世界を探求し続け、中国の人々が長年培ってきた英知を学ぶ、吸収し、微力ながら家族や身近な人、地域の人、或いは患者さんにその知識を伝えていきたいと思います。そうすることで皆が健康で幸せな毎日を過ごすことができる。そんな夢を抱きつつ、これからも努力していく所存です。
最後になりましたが、北京中医薬大学日本校の輝かしいご発展と、先生方、職員の皆様のご健康と益々のご活躍を祈念し、答辞の挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
平成22年10月2日
卒業生代表 中医中薬専攻科 室伏 純世
写真は中医薬膳専科の卒業生の方々です:
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