ようやく春がやって来ました。花が咲き、小鳥の鳴き声もよく聞こえるようになりました。気候が暖かくなることに伴って、細菌、ウイルスなどの微生物の繁殖も増えます。春には、インフルエンザ、流行性脳脊髄膜炎、はしか、猩紅熱、流行性耳下腺炎や、急性気管支炎、肺炎などの発病率が高くなります。これらの疾病の予防と治療に、一連の良薬がありますが、その中比較的に理想な生薬が一つあります、それは板藍根です。
中薬の板藍根は、アブラナ科の植物板藍の根部です。性味は苦・寒で、清熱解毒の効用を持ちます。現代研究によりますと、板藍根は良好な抗菌・抗ウイルス及び、解毒作用があります。なお、同植物の葉は、大青葉と言い、清熱解毒、涼血止血の効用があって、インフルエンザ、流行性脳脊髄膜炎、肺炎、肝炎、赤痢、腸炎などに治療効果があります。
①感冒やインフルエンザの治療の場合、板藍根一日18gを水で煎じてお茶代りに飲みます。また、「板藍根沖剤」という顆粒剤を一日2~3回、3~5日間続けて飲むことも薦めます。「板藍根沖剤」中国のどこの薬局にも売っている大衆薬です。
②流行性耳下腺炎の治療及び予防の場合は、板藍根一日30gを水で煎じてお茶代りに飲む、または、「板藍根沖剤」を一日2~3回、3日間飲みます。もし、耳下腺の腫痛は酷く、熱もある場合、板藍根30g、金銀花10g、薄荷5gを煎じてお茶代りで、一日数回飲むと良いです。
③ウイルス性結膜炎の治療及び予防の場合は、板藍根(或は大青葉)30g、生山梔子9g、生甘草6gを水で煎じて、一日一剤、5日連続飲みます。
④ウイルス性肝炎の治療及び予防の場合は、板藍根、茵陳、貫衆各15gを水で煎じて飲むと良いです。
⑤流行性脳脊髄膜炎の治療及び予防の場合は、大青葉30gを水で煎じて、一日数回、5日位連続飲みます。また、板藍根、貫衆各15gを煎じてお茶代りに、5日位連続飲みます。
板藍根は抗ウイルスで、清熱解毒の要薬だと言われていますが、抗菌の効果も低く評価すべきではない。しかし、「薬なら、三分の毒があり」と言う言葉があります。板藍根も同様です。特にこの数年、「板藍根沖剤」や液体の製剤は、過敏反応や、消化系、造血系の不良反応などの報道が見られます。
なお、全ての疾病に対して、治療も予防もやはり弁証しなければなりません。一種の生薬だけに頼ることはNGです。板藍根も同じです。感冒を例にしましゅう:板藍根は風熱タイプの感冒に適宜ですが、風寒タイプの感冒にはあまり意味がないです。また、風熱タイプの感冒でも、もし風熱挟湿と弁証されたら、また効かなくなります。
あとは、板藍根の薬性は寒涼なので、長く服用すると、脾胃を損傷する恐れがありますので、注意する必要があります。
(李)