今年の北京研修を計画の際、3~4年前に日本校にて教鞭を握った人気の高い高春媛教授に特別講義を依頼したところ、先生が快諾して下さり、「中医薬と人体免疫」という講義を聞くことができました。
北京に行く直前に先生より中国語の原稿を頂きまして、翻訳する時間がなかったので、原稿をそのまま聴講者の皆様へ配布しました。なお、講義の時間に限られていたため、先生がまだ話してない内容もありました。この場を借りて、私は原稿を翻訳し、何回かに掛け掲載したいと思います。皆さまに役に立てられれば、嬉しいと思います。
原稿は、「西洋医学の免疫学基礎」と「中医薬と人体免疫」に二つの部分に分けられましたが、主に「中医薬と人体免疫」の部分を訳させて頂きます。
中医薬と人体免疫
北京中医薬大学教授 高 春媛
一、免疫の概念
免疫とは人体の生理性保護反応で、人体が感染を取除き、伝染病に患わない能力を指します。免疫は下記三種の機能を発揮しています。
1、免疫予防機能 病原体及びその毒性産物が身体へ侵入するのを防御する機能です。異常の場合は、過敏反応或は免疫欠陥症を現れます。
2、免疫安定機能 免疫学的恒常性とも言います。身体の中に損傷や老衰、変性或は死亡した細胞を排除する能力です。異常の場合は、自己免疫性疾病に患います。
3、免疫監視機能 腫瘍の発生と持続性感染を予防する能力です。異常の場合は、腫瘍、或いは持続性感染を発生し易くなります。
二、免疫機制の種類
病原体が人体へ侵入の際、人体のその病原体に対しての応答(免疫応答と言います)は2つのタイプがあります。
1、非特異性免疫(先天性) 遺伝で獲得し、作用対象が広く、特異性と免疫記憶性がないです。作用時間が短いです。
2、特異性免疫(獲得性) 後天で獲得します(ワクチン接種など)。特異性と免疫記憶性があります。作用の維持時間が長いです。この免疫作用のメカニズムとは、主にTリンパ球とBリンパ球が効果細胞に活性化し、増殖分化し、細胞免疫或は体液免疫の作用を発揮します。
三、免疫機制に参与する器官と組織
中枢器官:
骨髄(Bリンパ球の分化と成熟、二次免疫応答に抗体の産生する場所);
胸腺(Tリンパ球の分化と成熟の場所、Tリンパ球の自己識別能力を保証)。
周囲器官:
リンパ節(濾過作用、中にある大食球という細胞は病原体を排除し、リンパ液を浄化して、病原体の拡散を防ぐ);
脾臓(濾過作用、赤色脾髄にある大食球は血液に入った病原体や老衰した自身の細胞を排除する。免疫応答や免疫活性物質を産生する場所)。
(訳:李宏)