中医薬と人体免疫②
北京中医薬大学教授 高 春媛
四、免疫グロブリンについての基礎知識
人体の特異性免疫機制は、細胞免疫(Tリンパ球+抗体)と体液免疫(Bリンパ球+抗原)二種類あります。
なお、体液免疫には、5種類の免疫グロブリン(Ig)があり、それぞれをIgG、IgM、IgA、IgE、IgDと称します。それぞれの産生径路と役割に違いがあります。
IgG、全体の75%を占めます。胎児の12週より合成され、5~7歳に成人のレベルに達します。IgGは唯一胎盤関門を通過できるIgで、母体から獲得できますが、生後6ヶ月に消えます。
IgM、全体の6%を占めます。胎児の12週より合成され、7歳頃に成人のレベルに達します。胎盤関門を通過できないため、母体から獲得できない。グラム陰性菌を対抗できます。
IgA、母乳中豊富です。嬰児4~6ヶ月より産生し、12歳頃成熟します。粘膜及び局部の感染を対抗できます。
IgE、最も少なく、全体の0.002%しか占めません。主に寄生虫の感染やⅠ型超敏感反応を対抗します。
IgD、全体の0.03%をしかないが、臍血には全体の15%を占めます。扁桃腺や脾臓より産生し、5~7歳に成熟する。
五、臨床で常見する超敏感反応性疾病(アレルギー反応性疾病とも言います)
Ⅰ型(即発型):IgEに関連します。特徴は遺伝傾向と個人差があります。全身性の過敏反応或は薬物過敏性ショック、呼吸系の過敏性反応、消化系の過敏性反応、皮膚に過敏性反応などが含まれます。
Ⅱ型(細胞溶解型):IgG、IgMに関連します。輸血反応、新生児溶血症、薬物過敏性背赤血球減少症、自己免疫性溶血性貧血などがあります。なお、特殊体質な人に抗体刺激型超敏感反応で発生する甲状腺機能亢進症もこのタイプに属されます。
Ⅲ型(免疫複合物型):IgG、IgM、IgAに関連します。局部の炎症や組織の損傷などが発生します。全身性免疫複合物病(血清病、IgA腎病、SLE、リューマチ性関節炎など)もこのタイプに属されます。
Ⅳ型(遅発型):病原体に再度接触後(24~72時間)発生します。伝染性超敏感反応、接触性皮膚炎、(臓器)移植述後の拒絶反応などはこのタイプに属されます。
(訳:李)