中医薬と人体免疫③
北京中医薬大学教授 高 春媛
六、臨床で良く見られる自己免疫性疾患(AID)
自己免疫性疾患(AID)とは、免疫システムが自身の成分に対して免疫応答を発生して、自身の損傷を引き起す疾病です。
AIDの特徴:多数の場合は原因不明で、「自発」のものです;血液の中に自身応答性Tリンパ球が見つけられます;女性に多発、加齢により発病率が高くなり、遺伝傾向があります;重複発生の可能性があり、同時に一種類以上のAIDを患います;繰り返し発作し、引き延ばすケースもあります;免疫抑制治療で効果があります。
臨床で良く見られる自己免疫性疾患(AID)は次です:橋本氏甲状腺炎、自己免疫性貧血、Ⅰ型糖尿病、重症筋無力症、多発性脱髄症、リューマチ性関節炎(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)など。
七、臨床で良く見られる免疫欠陥性疾患(IDD)
免疫欠陥性疾患(IDD)とは、免疫システムの中、一種或は多種の成分が欠乏で、免疫機能低下或は欠乏を引き起す疾病です。
IDDの特徴:病原体に対する感染し易く、繰り返し・持続的な感染が発生します;悪性腫瘍の発生率が高い(100~300倍);自己免疫性疾患の発生率が高い;遺伝傾向が顕著です。
臨床で良く見られる免疫欠陥性疾患(IDD)は次です:
B細胞欠陥(IDDの50~75%占めます)、伴性低ガンマグロブリン血症、伴性高IgMシンドローム、IgA・IgM欠陥症など;
T細胞欠陥(IDDの5~10%占めます)、先天性胸腺発育不良(胸腺機能欠乏)症など;
聯合免疫欠陥(IDDの10~25%占めます)、重症聯合IDD、毛細血管拡張性共済失調症など;
食細胞欠陥(IDDの1~2%占めます)、慢性肉芽腫症など;
補体欠陥(IDDの1%以下占めます)、補体調節分子欠陥症など。
八、免疫疾病の発病機制
抗原(細菌・ウイルス・寄生虫などの感染、食物、薬物、花粉や化学物理品などの接触)→抗体産生→免疫反応(抗原と抗体が結合し、病理産物を発生し、身体に堆積する)→免疫応答(堆積したものを排除する反応)→臨床症状(それぞれ標的器官や組織が免疫応答にさまざまな症状が発生)。
九、現代医学の免疫療法
1、免疫予防
人工能動免疫:数回に分けて抗原を使い、人体を刺激し、免疫保護を成立させます。ワクチン接種などの方法があります。特徴は、免疫産生は遅いが、維持時間が長いです。よって、伝染病の予防ができます。
人工受動免疫:免疫効果物質の抗体を使い、免疫保護を成立させます。特徴は、免疫産生は直ちになりますが、維持時間が短いです。治療及び救急の場合に適応です。
2、免疫治療
免疫疾病の治療は現代医学で洋々たる前途のある分野です。まだ成熟されていないが、幾つの有効な方法が認められています。
免疫細胞治療:造血幹細胞移植(骨髄移植、臍血移植など)、効果細胞を活性化(NK細胞など)。免疫欠陥病、悪性免疫増殖病、再生不良性貧血、腫瘍などの治療に用います。
免疫干渉製剤:免疫調節剤(インターフェロン、白芥素など)、免疫増強剤(生物製剤、BBG、多糖類、転移因子、胸腺ホルモンなど)、免疫抑制剤(化学合成物質、グルココルチコイド、クロズツグルコシドなど)が含まれます。自己免疫性疾病、感染性疾病、腫瘍などの治療に用います。なお、免疫応答を増強し、免疫欠陥病の治療もできます。
(訳:李)