中医薬と人体免疫⑦
北京中医薬大学教授 高 春媛
3、中医学が協調陰陽に関する論述
(1)陽気優先論
「有形な精血では、急に生じることができない。ゆえに無形な元気を早めに固めるべきである」――先に元気を救う。
「気血はともに重要だが、補気を養血の前に;陰陽はともに需要されるが、養陽を滋陰の前に。」
当帰補血湯・人参帰脾湯・四物湯・独参湯・参附湯などは証明できる。
(2)陽中求陰、陰中求陽論
「陰陽二つの気、偏ってはいけない。偏らなければ、気が調和し物を生じる。偏ったら、気が悖り、物を殺す。」
「治陽に巧む者は、必ず陰の中に陽を求める。こうすれば、陽が陰の助けを得て限りなく生化する。」
「治陰に巧む者は、必ず陽の中に陰を求める。こうすれば、陰が陽の助けを得て限りなく生化する。」
「陰陽が調和であれば、普通に出入りする。陰陽が病んであれば、順次に開閉できなくなる。」
(3)左帰飲・右帰飲・左帰丸・右帰丸論
左帰飲:純粋に甘な壮水の剤である(六味地黄丸では、陰虚火旺がある場合に)。すべての腰がだるい、咽が乾く、舌が紅で舌苔がない、脈が細数の者に用いられる。
左帰丸:精血不足の者に長く服用する。
右帰飲:温腎で精血を生す(左帰飲に茯苓を取り除き、附子と肉桂を加える)。すべての腎陽不足で手足が冷えで寒がり、腰がだるく乏力、舌淡苔滑の者に用いられる。
右帰丸:右帰飲に甘草を取り除き、鹿角膠と当帰を加えた方剤で、純粋に補して、瀉がしないものであり、先天の不足や長い病気でなかなか治らない場合、陰痿や子宮の寒冷などでの不妊症に適用される。
(4)中医学の五臓調養論
①胎児から調養する
これは、「胎教胎養」と言い、中医学には「十ヶ月養胎法」がある。人の免疫力は胎児の時から獲得するのもあるし、胎盤に存在するグロブリンは最も重要な免疫グロブリンだと言いすぎない。
IgG、最も多いほうで、全体の75%を占める。胎児の12週より合成され、胎盤から獲得できる。
IgM、全体の6%を占める。胎児の12週より合成され、胎盤関門を通過できないため、母体から獲得できない。
IgA、全体の3%を占める。母乳から獲得できる。
(訳:李)
(次回は「十ヶ月養胎法」を紹介いたします。)