中医薬と人体免疫⑩
北京中医薬大学教授 高 春媛
(4)中医学の五臓調養論
③高齢者の養生
高齢者の養生は主に四つの方面から着手します。
その一は、精神的なことをリラックスさせ、十分な睡眠をとる。
その二は、身体を適切に動かせ、日々の入浴を心掛ける。
その三は、合理的な飲食管理をし、お腹を空かせない、偏食しない。
その四は、持病がある場合は、合理的に薬を使用する。
④病気の種類による養生
持病の種類によって、飲食の内容及び運動の方式を選びます。下記の注意事項を重視しましょう。
*心臓・脳血管の疾病:気血を流通させる;便通をよくさせる。
*三高症(糖尿病、高血圧、高脂血証)・肥満:あっさりした、脂っこくない食事を摂る。素食、少量、皮殻の堅い果実や豆類・野菜類・果物などを摂ること。
*肝胆の疾病:情志を調節することによって、利胆疏肝する。
*消化系疾病:少食で、食事の回数を多くする。柔らかいものやスープ類のものを摂ること。
⑤季節や地域による養生
人々の飲食は季節によって調節するべきです。つまり、旬のものを食べるのが宜しいです。
なお、地域によってよく食べるものや生活習慣が違うため、風土病などが見られます。それを防ぐため、食事の習慣を見直す必要があります。
(5)免疫調節作用がある生薬
補益類:人参、党参、黄耆、何首烏、白芍、淫羊藿、枸杞子、女貞子、巴戟天、山茱萸、甘草、補骨脂、刺五加など。作用としては、リンパ球の再生能力を高め、食細胞の作用を増強、抗体の形成能力を高め、多種の細胞因子の発生を誘発する。
清熱解毒類:大青葉、金銀花、蒲公英、黄連、黄芩、黄柏など。作用としては、食細胞の作用を増強、多種の細胞因子の形成を調節する、NK細胞の活性化を増強する。
活血祛瘀類:丹参、紅花、三七、益母草、我朮、川芎など。作用としては、リンパ球の再生能力を高め、多種の細胞因子の形成を調節する。
袪風湿類:桂枝、細辛、漢防已など。作用としては、Tリンパ球の亜群を調節する、過敏性伝達物質の釈放を抑制する、過敏性媒質反応を拮抗する。
(終わり)
(訳:李)