『黄帝内経』筆記 陰陽五行(四)~(八)のまとめ
いままで紹介した八回の中、①~③は陰陽の総綱です。④~⑧(故清陽為天、濁陰為地~秋傷於湿、冬生咳嗽。)の部分について、『素問集注』に、このように注釈した:「この部分は、天の四時五行、人の五臓五気、外感六淫、内傷五志などと陰陽寒熱の病について詳しく論じた。」
この部分は、最初に述べた陰陽の概念の基礎を踏まえて、陰陽の属性や陰と陽両者の運動規律などについても論じた。これらの規律は中医理論の発展に大変役に立った。例えば、李東垣の脾胃昇降学説、黄元御の五臓昇降理論などは、みんな『内経』中の陰陽昇降の規律と分けることができない。特に気・味・精・形の転化は陰陽の互根・転化などの規律を利用し、人体の栄養物質と糟粕が新陳代謝の過程においての生化関係を解き明かした。
また、これらの互根・転化関係は臨床治療の法則にも応用されている。例えば、張介賓氏が言った「上手に補陽できる者は、必ず陰中求陽し、こうすれば、陽が陰に助けられ、限りなく生化する;上手に補陰できる者は、必ず陽中求陰し、こうすれば、陰が陽に助けられ、尽きなく源泉がでる。」、「善治精者、能使精中生気;善治気者、能使気中生精」などの理論は、精気伝化理論が臨床治療法則における運用と発揮である。なお、中薬学の昇降浮沈理論もここから発展した理論だと言われる。
少火と壮火の内容について、元々は陰陽の性能のことだが、後世はこれらを更なる解釈した。まず、「火」を陽気と解釈している
。「壮火」は亢盛な陽気であり、即ち、正気を損い、生理機能に病的な影響を及ぼす人体の病理的な火である。壮火に対して、
「少火」は平和の陽気であり、即ち、人体の生命活動を維持する陽気を生じる生理的な火である。この壮火・少火の理論は、病理学の重要な内容となったばかりではなく、後世の主火の学術流派に理論基礎を定めた。
なお、最後にあった「風勝則動……」の節は、病因弁証を強調しただけではなく、「六気化病」の病機学説を豊富した。例えば、後世は動揺振顫の症状を内風の象に、津液乾涸の証候を内燥と考える。劉元素が補充した『素問』病機十九条に「諸澀枯涸、乾勁皴掲、皆属于燥」を示した理論根拠のは、本分の「燥勝則乾」の観点からである。
(李)