こんにちは、周です。今回は温里(裏)薬の話です。
温里薬は温(熱)性を有し、温散裏寒(裏寒を取り除く)の作用があり、裏寒証に用いられます。今回は代表的な温里薬―附子・肉桂・乾姜・呉茱萸を紹介します。
附子:性は辛・熱、有毒で、心・腎、脾に帰経します。回陽救逆・補火助陽・散寒止痛の作用があります。亡陽証による冷汗・四肢厥逆(手足の冷え)・脈微欲絶(脈が微弱)、陽虚証による畏寒肢冷・腰痠脚弱・陽痿尿頻・腹痛腹瀉・大便溏泄・小便不利・(腰以下に顕著)水腫、(寒湿による)痹証(関節の痺れ、疼痛、冷え)に用いられます。毒性が強いので、加工・炮製したものを使用します、妊婦には禁忌です。
肉桂:性は辛・甘・熱で、腎・脾・心・肝に帰経します。補火助陽・散寒止痛・温通経脈作用があります。腎陽不足による畏寒肢冷・腰膝軟弱・陽痿、尿頻(頻尿)、脾腎陽虚による腹冷痛、食少便溏、虚寒による脘腹冷痛・痺痛・腰痛・痛経(月経痛)、陰疽(慢性皮膚潰瘍)・気血虚寒の痈腫膿成不潰(化膿して、膿の排出できない)・或いは潰後久不収斂(膿の排出できるが、爛れた傷口の修復できない)に用いられます。陰虚火旺・血熱妄行(出血)・妊婦には禁忌です。
乾姜:性は辛・熱で、脾・胃・心・肺に帰経します。温中回陽・温肺化飲作用があります。脾胃寒証の脘腹冷痛・嘔吐泄瀉、亡陽証、寒飲伏肺による咳嗽気喘・清薄痰多(大量の希薄痰)・形寒背冷(背部の冷感)に用いられます。
呉茱萸:性は辛・苦・熱、小毒で、肝・脾・胃に帰経します。散寒止痛・疏肝下気・燥湿作用があります。脘腹冷痛・疝痛(発作的に起こる激しい腹痛)・頭痛・虚寒泄瀉、胃寒の嘔吐・乾嘔(吐き気)に用いられます。辛熱燥熱ので、陰虚発熱には禁忌です。
肉桂と附子:効能は似ています。併用することが多いですが、肉桂は血分に偏り、附子より性質が緩やかで、亡陽証には使用しないです。附子は気分に偏り、回陽救逆の要薬です、理血調経には使用しないです。
乾姜と附子:共に回陽に働きますが、乾姜は主に脾胃に入り、温中散寒し、附子は下焦の元陽を峻補します。両者を併用することによって、効果が高まり、附子の毒性も減少します。
呉茱萸と乾姜:温中散寒・助陽に働きます。呉茱萸は厥陰肝経の主薬であり、厥陰頭痛・胃痛・嘔吐呑酸に適します。乾姜は主に脾経に入り、温中散寒の主薬であり、脘腹冷痛・吐瀉に適します。呉茱萸・乾姜は助陽に働き、五更泄瀉(夜明けの下痢)によく用いて、乾姜は回陽救逆に用います。