こんにちは、周です。今回は中国最初の薬粥(中薬を加えて作ったお粥)に関する専門書の話です。
清の時代の養生家・黄云鵠が著した≪粥譜≫は、中国最初の薬粥専門書であります。薬粥療法とは、中医学理論の基で、薬粥を用いて、強身延年(身体を強くする、寿命を延ばす)・疾病防治(疾病を予防・治療する)という一種飲食療法です。歴代薬粥理論及び粥方(組み合わせ)は、本草・方剤・養生・食療・臨床医書・総合性医書の中に分散して掲載されています。
早くも、≪周書≫に、こう書かれています:「黄帝始烹谷(穀)為粥」。しかし、薬物を加え、米谷(穀)物と一緒にお粥を作って病を治療するという、最初の記述は、≪史記・扁鵲倉公列伝≫であります。その列伝に、「斉王有疾、医家淳于意診断後譲斉王服火斉粥、服後斉王病癒」と記載してあります。
淳于意については、
2012年4月16日ブログ記事をご参照ください。
薬粥に関する書籍も多くあります。例えば、漢の時代・張仲景の≪傷寒論≫に、米薬合用(米と薬を併用する)の典型的な用法であるー「白虎湯」・「桃花湯」・「竹葉石膏湯」。唐の時代・孫思邈の≪千金要方≫に、「食節」専節(食に関する専門の文章)。また、牛乳粥・天花粉粥を用いて、老年性疾病を治療する記載もあります。≪太平聖恵方≫には、宋の時代前の民間保健粥食129方(例)を収録してあり、「杏仁粥」は咳嗽に、「酸棗仁粥」は不眠に有効であります。明の時代・李時珍の≪本草綱目≫には、薬粥62方を記載してあり、専節の論述もあります。明の時代に入ると、薬粥は盛んになり、専門書も特に多くあります。例えば、≪普済方≫には、180方を、≪二如亭群芳譜≫には、18方を収録してあります。そんな状況から見ると、明の時代に、薬粥を用いての疾病防治に応用するのは、普及されていました。
清の時代に至ると、薬粥療法は新たに発展しました。黄云鵠が著した≪粥譜≫には、粥方247方を集録してあります。その粥譜は、中国に於ける最多の粥方資料だけでなく、最古の薬粥専門書でもあります。その粥譜は、歴代の薬粥を谷(穀)類・蔬類・木果類・植薬類・卉薬類・動物類に分類し、1つ1つ粥方について、効用及び主治を簡単な論述します。但し、不足な所がありますー①単純な粥名を羅列する、②用量・製法を欠如する、③全部単味粥方である、④前人の有効な複方を未記載である。
薬粥療法に使用する中薬は、大部分が性味平和の滋養強壮薬です。これらの中薬は、抗老防衰(老衰を予防する)・延年益寿という作用があります。常用される中薬は、以下ですー山薬、枸杞、何首烏、肉蓯蓉、山楂、柏子仁。これらの薬粥を常に食べると、確実に補益抗老・延年長寿の効果が得られます。
因みに、日本では、お粥は病人食と感覚されますが、中国では、一般食であり、特に朝ご飯として食べます。私の故郷(広州)では、「飲茶」という習慣があります、「飲茶」メニューには、お粥だけも沢山あります。