霊枢・五味第五十六④
【原文】五宜①:所言五色②者、脾病者、宜食秔米飯、牛肉、棗、葵。心病者、宜食麥、羊肉、杏、薤。腎病者、宜食大豆黄卷、猪肉、栗、藿。肝病者、宜食麻、犬肉、李、韭。肺病者、宜食黄黍、鷄肉、桃、葱③。
五禁:肝病禁辛、心病禁咸、脾病禁酸、腎病禁甘、肺病禁苦④。
【注釈】①五宜:『太素・巻二・調食』、『霊枢集注』などの注釈によると、この二文字を無くしても良いということです。
②五色:『太素・巻二・調食』の注釈では、この二文字は「五宜」の誤字である。上下文の内容の分析によれば、「五宜」であるべきです。
③脾病者、宜食秔米飯、牛肉、棗、葵~肺病者、宜食黄黍、鷄肉、桃、葱:上文(前回の分)の続きであり、五臓が病気になった時に、その相応する五味の食物を選択します。所謂、脾病の者は、粳米のご飯、牛肉、棗、葵を食べるのが宜しい;心病の者は、麥、羊肉、杏、薤を食べるのが宜しい;腎病の者は、大豆のもやし、豚肉、栗、藿を食べるのが宜しい。肝病の者は、胡麻、犬肉、李、韭を食べるのが宜しい;肺病の者は、もち黍、鷄肉、桃、葱を食べるのが宜しいです。
④肝病禁辛、心病禁咸、脾病禁酸、腎病禁甘、肺病禁苦:五臓の病気は五味に対してそれぞれの禁忌もあります。肝病は辛味を忌み、心病は咸味を忌み、脾病は酸味を忌み、腎病は甘味を忌み、肺病は苦味を忌むべきです。ここは、五臓が虚証の場合の話です。
つまり、虚証の場合は、その所不勝(五行理論でそれを尅す方)の味が禁忌します。例えば、肝は木に属し、(肝)木の所不勝は(肺)金で、金の味は辛なので、肝の虚証に辛味が禁忌されます。他も同じ道理です。『霊枢集注・巻七』にこう記載されています:五味五気に、相生と相剋があり、補と瀉もあるため、五臓の病に勝尅の味は禁止する(相乗することを防ぐためです)。
(次回へ続く)
(李)