こんにちは、周です。今回は中薬―松香の話です。
松香は松脂・松膠・松膏・黄香とも呼ばれます。性味は甘・苦・温で、肝・脾・肺経に帰経します。燥湿殺虫・抜毒生肌(排膿生肌)・止痒止痛という作用があります。疥癬湿瘡・癰瘡癤疔に用いられます。外科の常用薬です。内服しますと、風湿痺痛・久咳気喘に働きますが、現代では、ほとんど使われていません。
≪神農本草経≫にこう記載しています:治痈疽悪瘡、頭瘍白○(=禾のしたに几)、疥瘙風気、并安五臓、除熱、久服可軽身不老延年。
注:白○とは、白○瘡のことを指す、皮膚病の一種で、衛生条件が悪いところで発生する、児童に発症することが多い。
また、歴代の医籍に、「経験方」を紹介されています。
劉 涓子の≪鬼遺方≫にこう記載しています:以之和入少量軽粉研末、油調涂擦、治疥癬湿瘡。
≪集簡方≫にこう記載しています:松香・黄丹各五銭、軽粉三銭、研細末、菜油調涂、治小兒白○(=禾のしたに几)。
≪外科全書≫にこう記載しています:以本品(松香)30g、乳香・没薬各15g(焙去油)、樟脳3g、共研細末、外摻患処、治痈疽腫毒破潰、膿水淋漓、能抜毒生肌。
外科薬としての効能は、確かでありますが、「久服可軽身不老延年」について、古人の「食松」(松子、松脂、松葉を含む)という習慣から伺うことができます。華佗(後漢末;109?-207?)の≪中蔵経≫に、松葉を主原料として、延寿酒を造っていました。現代薬理研究では、松葉・松脂は、抗衰老・降血脂・降血圧、松子は通便・美容効果があると証明されました。