霊枢・本輸第二②
【原文】黄帝問於岐伯曰:凡刺之道、必通十二経絡之所終始①、絡脈之所別処、五輸之所留、六腑之所与合②、四時之所出入、五臓之所溜処、闊数之度、淺深之状、高下所至③。願聞其解④。
岐伯曰:請言其次也⑤。肺出於少商、少商者、手大指端内側也、爲井木⑥;溜于魚際、魚際者、手魚也、爲滎⑦;注于太淵、太淵、魚後一寸陷者中也、爲輸⑧;行于経渠、経渠、寸口中也、動而不居、爲経⑨;入于尺沢、尺沢、肘中之動脈也、爲合⑩。手太陰経也⑪。
【注釈】①凡刺之道、必通十二経絡之所終始:およそ針刺の運用には、十二経絡の循行、及びその起点と終点を精通しなければならない。
②絡脈之所別処、五輸之所留、六腑之所与合:絡脈の別に出るところ、(井・滎・輸・経・合と言う)五輸穴が留める部位、六腑と相合する(表裏関係)ところ。
③四時之所出入、五藏之所溜処、闊数之度、淺深之状、高下所至:四時(四季)が経気出入への影響、五臓の気が流れ込むところ、(経脈・絡脈・孫脈)の幅広さや深さの情況、上(頭面部)へと下(足頚部)へとの関連。
④願聞其解:これらの問題に関して、解説を聞きたい。
⑤請言其次也:順序に説明させて下さい。
⑥肺出於少商、少商者、手大指端内側也、爲井木:肺(所属経脈の血気)は少商からでる(起点は少商)。少商は、親指の端の外側に位置する、井穴であり、木に属す。
⑦溜于魚際、魚際者、手魚也、爲滎:魚際穴まで流れる。魚際穴は手魚の外縁(際)にあり、滎穴である。
⑧注于太淵、太淵、魚後一寸陷者中也、爲輸:太淵穴に注ぐ。「太」は盛大、「淵」は深くて広いという意味です。太淵穴は手魚の後一寸、凹んでいる処にあり、腧穴である。
⑨行于経渠、経渠、寸口中也、動而不居、爲経:経渠穴を通行する。「経」は通路、「渠」は水渠(水路)の意味です。経渠穴は寸口(前腕橈骨茎状突起と橈骨動脈の間のくぼんだ処)にあり、経穴である。
⑩入于尺沢、尺沢、肘中之動脈也、爲合:尺沢穴に集合する。肘の中動脈がある処にあり、合穴である。
⑪手太陰経也:これが手の太陰経(の五輸穴)です。
【説明】
今回は、手の太陰肺経とその五輸穴を部位紹介しました。次回よりは心経から大腸経まで、他の十一経脈の原文を紹介しますが、【注釈】は必要な部分だけで、肺経のように詳しく説明しません(^@^)。
(李)