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『黄帝内経』筆記 蔵象学説(三十六)
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霊枢・本輸第二⑩
【説明】(続き) 今回は、下合穴(六合穴)に関して紹介したいです。
上文の最後にあります、「六府皆出足之三陽」について下記に補充説明します。
手足の三陽経は、全て下肢にある足の三陽経に合穴があります。これらのツボを下合穴、或は六合穴と言います:
足陽明胃経:足三里
手陽明大腸経:上巨虚(足陽明胃経の穴)
手太陽小腸経:下巨虚(足陽明胃経の穴)
足太陽膀胱経:委中
手少陽三焦経:委陽(足太陽膀胱経の穴)
足少陽胆経:陽陵泉
理由は次の三つあります:
①経脈の循行により検証:手の三陽経が体表に循行する部位は上肢と頭面部です。その五輸穴は上肢にあり、その経気は直接内腑へ深入せず、その合穴が内腑への影響は大きくありません。足の三陽経が体表に循行する部位は頭面部と体幹の他に、その経気は下肢の合穴を経由して内腑と通じていて、腑病を治療する主要な経脈となっています。
②経脈の分布により検証:六腑は皆腹部にあり、足の経脈と密接な関係を持っています。身体の経気の流れを上から下へ疎通させる役割を果たす作用があります。身体の上が陽、下が陰で、陰と陽が互根しているということで、手の三陽が下に「合」し、それぞれの下合穴があって、「手三陽の下輸」と称しています。
③生理機能により検証:本篇に「大腸、小腸皆属于胃」と言い、大腸経と小腸経の下合穴は胃経にある上巨虚と下巨虚です。生理上では、胃と大小腸は互いに協調し合い、共同で食物の消化吸収及び排泄作業を完成しています。病理上でも、当然互いに影響し合うので、大小腸の経気が胃経にある上巨虚と下巨虚で「合」するとされます。これが、大小腸の病気を治療の際、胃経にあるツボを選ぶ理由です。なお、手少陽三焦経は足太陽膀胱経の委陽穴で「合」するというのも、両者(三焦と膀胱)の生理と病理(水液代謝など)上密接な関係があるからです。
最後に、下合穴の臨床応用について紹介しましょう。
『霊枢・四時気』に「邪在腑、取之合」、『素問・咳論』に「治府者、治其合」、『霊枢・邪気蔵府病形』に「合治六府」などの記載があります。臨床では、下合穴を応用し六腑の病症を治療する例が多くあります。例えば、急性腹痛の中、盲腸炎に上巨虚を、急性胃炎に足三里を、胆嚢炎などに陽陵泉を選び、針刺すると、止痛の速効果及びある程度の抗炎症効果が求められます。なお、一部頑固な腑証の治療に、郄穴を配伍して通絡活血と行気止痛に効果を得られます。
(李)
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