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『黄帝内経』筆記 蔵象学説(七十六)
霊枢・五癃津液別第三十六⑥
【纏め】 本篇は五癃の病の病機について詳しく論述してあります。下記のように纏めておきます:
① 寒気が分肉の間に停留→気機収引、津液が停留し→集まって沫になり、痛みが発生する。
② 心に悲と気が併合→心系が急(気ぜわしい)、肺葉が挙がり、気逆で津液が上に溢れる→咳して涙が出る(むせび泣くようす)。
③ 中焦の熱が消穀→寄生虫が上下に動く→胃の動きが緩慢で気逆し、唾液が出る。
④ 陰陽が不和→液が陰竅に溢れ→女子は帯下が多い、男子は精液を失う→髓液が減少→腰と背中が痛む、脛が痠痛する。
⑤ 陰陽気道が不通、四海が閉塞、三焦が不瀉→津液不化→下焦に溜まり込み、膀胱へ滲出できない→下焦が張り、或は水液が外溢し水脹となる。
本篇は五穀が胃に入ってから五種類の津液に化生することと陰陽不和、三焦が瀉しない時(陰陽不和、津液の輸布が失調)に「五癃の病」が発生する機理説明した。
なお、水穀が津液に化生する際、三焦の役目を強調した(水穀皆入于口……三焦出気、以温肌肉、充皮膚、爲其津;其流而不行者、爲液)。『難経・第三十一難』にある「三焦者、水穀の道であり、気の終始する所である」という記載はその注釈です。本分に書かれた「三焦不瀉、津液不化、水脹になる」という理論は後世に水気病に対する認識及び治療に重要な指導的な意義があります。
また、天気の寒暑が体内にある水液に重要な影響があることも説明した。「五藏六府、心爲之主、耳爲之聽、目爲之候、肺爲之相、肝爲之將、脾爲之衛、腎爲之主外」とは『内経』の整体観念を反映しています。即ち、人と自然は統一している、人体の各部位も統一している。これは中医学の理論特徴の一つであり、理論の研究や臨床の実践などに、広く応用されています。
次回からは『霊枢・邪客』を勉強しましょう。
(李)
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