こんにちは、周です。今回は成語――「眼中釘」(yan zhong ding)を紹介します。
眼に刺さった釘のことー邪魔者(物)・目障りな者(物)に喩えます。日本語の「眼の上にのタンコブ」に近い意味ですが、それよりずっと痛切な言い方であります、中国では「眼中釘、肉中刺」で表現します。
出典は『新五代・趙在礼伝』です。史上初めて民衆に「眼中釘」と呼ばれた人物は、趙在礼であります。紀元十世紀、唐代末から五代にかけての混乱期に、趙在礼という男が居ました。彼は宋州(現在の河南省商丘)節度使(官位、地方の軍事や行政を掌る役人)でした。それゆえに、自分も皇親国戚(趙の娘は後晋の皇帝の太子妃)であった爲、領地の税金を横領・領民の財産を略奪し、巨万の富を築き、当時並ぶ者のない財産家になりました。その後、趙在礼が他の処に栄転することになりました。喜んだのは、勿論今まで苦しみを受けた領民達でした。皆は叫びました:「眼中抜釘、可不快哉」(趙のバカ野郎が栄転だよ。まったく、眼玉に刺さっていた釘が抜けたみたいに、それ以上の快感はないだ)。
時代が下って、南宋(紀元十二~十三世紀)の時代に丁謂という大臣(宰相という官位に居た)が居ました。彼は悪人で、忠良の老宰相・寇准を迫害しました。丁謂は評判が悪くて、世間では、次のような歌を作られて、流行っていました:「欲得天下寧、須抜眼中丁。欲得天下好、莫如召寇老」(好い暮らしを望むなら、まず眼中の丁を抜け、寇老を呼び戻せよ)。
注:歌の丁=丁謂=釘、寇老=寇准。中国語では、丁と釘は同じ発音です。
眼は小さなゴミが入っただけでも、大変ですよね。況して釘が刺さったのでは、堪るものではないです。早急に抜かなければなりません。