こんにちは、周です。今回は医家・孟詵の紹介です。
中国古代多くの医家が居ました、その中にある流派があります。彼らは呼吸吐納(深呼吸をする)・運動・琴碁書画(琴・碁・書・画などの高尚な道楽)・服薬を主張しなく、「食療」を提唱します。その流派を代表する人物は、南唐の陳士良・元代の忽思慧・唐代の孟詵・明代の廬和などでありますが、最も知られているのは、唐代著名な医家孟詵です。
孟詵(621~713年)は、汝州梁(今の河南省汝南)人で、唐代の著名な医薬学家です。彼は若年より医薬学を好み、孫思邈に師事したこともありました。進士・舎人・侍郎・侍読・太守・大夫(官名)を歴任した後、707年頃に官職を辞して故郷に戻り、その地の山間部に居を構え、食餌療法と養生術の研究に励みました。自らの数十年の実践経験より、241種類の医療作用や営養価値がある食品を収集し、《食療本草》を著わしました。これは中国最初の食餌療法に関する専門書であり、また唐代における食療本草を総括した書籍であります。書中に常用される食療品が多く記載しています。例:
鶏:先粉諸石爲末、和飯与鶏食之、後取鶏食之、甚補益。人毒熱発、可取三顆鷄子白(蛋清=卵の白身)、和蜜一合、服之差(差=好い)。黄雌鶏、補丈夫陽気、治冷気。痩着床者、漸漸服之良。
鴨(アヒル):主補中益気、消食。消十二種虫。白鴨肉補虚。
鵝(ガチョウ):補五臓、亦補中益気。(惟)多発痼疾。
○(=魚に即)魚(フナ):食之平胃気、調中益五臓。
羊奶(羊の乳):補肺腎之気、和小腸。亦主消渇。治虚労、益精気。
大根:服之令人白淨(白淨=肌が白くて綺麗)肌細。
茶葉:利大腸、去熱解痰。煮取汁。用煮粥良。
柿子(柿):補虚労不足。紅柿、補気、続経脈気。干柿、厚腸胃、温中、健脾胃気、消宿血。
黒豆:令人長生、又益陽道(性効能を増強する)。
彼が収集した食療品の中に、日常生活品の鶏・鴨・肉・果物・野菜などを多く含まれます。古語は、「薬補不如食補」(薬を飲んだとしても、良い食事に及ばない)と云います。古代では、薬を「毒」とも称されます、ここの「毒」とは、薬物の偏性(寒熱温涼・酸苦辛咸等々)を指します、適切な薬物を投与すれば病を治しますが、間違ったら逆効果になります。なので、古代多くの医家は、「袪邪用薬・補養用食」(薬で邪を駆除する・食餌で補養する)を提唱します。「五穀雑糧・大米白面(白面=小麦粉)」は人類が長年歴史の発展した過程の中に、無数の食物の中で選出したものです、その食物は性味が平で、営養が豊富でありながら、「良薬」とも言えます。この「良薬」は、まさに人類が如何に生存するかという「病」の治療薬です。食療学者の孟詵は、独出の心裁でこの大秘密を発現し、且つ日常生活品を巧く用いて養生や保健します。「身体強健・寿命亨長」(健康で、長寿する)できるようになります。
孟詵の著作には、この《食療本草》のほかに《必効方》・《保養方》各三巻があります。その原本はすでに散逸していますが、その内容は《証類本草》や日本の《医心方》などの書物の中に散見されます。